韓国の李叔姸(イ・スギョン)最高裁判事が17日、グランドハイアット・ソウルで中央日報のインタビューに応じた。ウ・サンジョ記者
エンジニアを夢見て浦項(ポハン)工科大学に首席で入学し、産業工学科で学んだ李判事は、卒業後に浦項製鉄に入社した。1991年のある土曜日の午後、民主化を求める街頭集会を偶然目撃して参加したことで、人生が一変した。会社はその事実を知ると解雇を通告した。それから李判事は労働法を学び、会社を相手取って自ら解雇無効訴訟を起こした。三審まですべて勝訴したが、復職を拒んだ。代わりに人生の針路を変え、裁判官になった。
工学徒から法学徒になった李判事は、いま再び技術と人間について考えている。李判事は17日に開かれたアジア太平洋最高裁判所長官会議で、AIが変える裁判所の未来について発表し、「AIは司法府に機会と同時に課題をもたらす」と述べた。中央日報は発表直後に李判事と会い、現在抱えている悩みと解決の糸口について聞いた。以下は一問一答。
--AIが「考える力」を弱めるとの懸念がある。
「重要な指摘だ。AIに依存するようになれば、独立した思考能力を失う可能性がある。AIが学習したデータは結局、過去のものだ。裁判官生活を続けながら感じたのは、この世にまったく同じ事件はないということだ。時代と環境の変化に応じて過去の判例や法律をどのように今日の判断に反映させるかを考えることは、AIに委ねてはならない人間の裁判官の役割だ」
--複雑な思考を省略したいという欲求は誰にでもある。
「教育とシステムによって、人々が依存を警戒するようにしなければならない。AIシステムを設計する際、AIが人間の裁判官に代案を提示したり、不足している点に気づかせたりするところにとどめ、判断そのものを代行するよう設計してはならない。私が委員長を務める司法府人工知能委員会と、司法研修院に5月開設された人工知能教育センターが、この点を積極的に教育する必要がある」
李判事は特許法院の高裁判事だった2023年、裁判所内に人工知能研究会を設立し、会長を務めた。昨年4月に発足した司法府人工知能委員会の委員長を務めている。人工知能委員会は「人間中心AIを通じた司法正義の実現」を目標に、段階別・事業別AIロードマップを発表した。
--「AIを活用して裁判する」という事実が国民の信頼を揺るがす可能性がある。
「だからこそ、裁判所がAIを活用する目的と範囲を公開しなければならない。すでに特許法院の『AI試行裁判部』では活用の目的と範囲を明らかにし、当事者の同意を得て外部の商用AIを使用している。また、必要なのは説明可能性だ。もしAIが決定を下すうえで相当な部分を担ったのであれば、裁判官はなぜこのような結果になったのかを説明できなければならない」
--裁判官がAIによって確保した時間は何に使うべきか。
「法廷で当事者の話を十分に聞くことに使うべきだ。下級審で裁判を担当していた時、当事者ともっと多くの話をしたいと思っていたが、押し寄せる事件を処理するためにそうできず、残念に思ったことが多い。判決が変化する時代を反映しているかについても、時間をかけて考えなければならない」
--AIは司法の独立にとって得か、毒か。
「諸刃の剣だ。使用目的と範囲を適切に設計すれば、事件の本質に迫る時間が生まれる。一方、過度に依存すれば司法の独立を損なう可能性がある。司法の独立は他の国家機関によって侵害されることもあるが、判断に代わり得るAIによっても損なわれる可能性がある」
--AIが代替できない、人間の裁判官だけの役割とは何か。
「共感能力だ。AIは人にお世辞を言うことはできても、人を愛することはできない。代表的な例として『イージーリード(Easy-Read)判決文』はAI技術で作ったものだが、発達障がい者が抱える困難に共感する情熱と誠意が土台となった。技術をどこに活用するかを決めることは、共感能力から始まる。最終的な結論に責任を負うのも人間の裁判官だ」
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