1955年7月、英国ロンドンのキャクストン・ホールで哲学者バートランド・ラッセル(右)が核兵器の危険性を警告している。宣言にはアインシュタインをはじめ科学者11人が参加した。[写真 パグウォッシュ]
第二は遺伝子操作をめぐるアシロマモデルだ。1970年代に遺伝子組み換えが可能になると、異形の生物の出現や細菌戦などの危険を懸念した科学者たちは自ら実験を中断し、米カリフォルニア州アシロマに集まって遺伝子操作実験の規範について議論し、合意を導き出した。この規範は今も大半の研究室で守られており、科学者が自らの研究が人類に及ぼす影響を考え、自ら規制を作った模範的な事例として記憶されている。AIの場合も、このようにビッグテックが自ら規範を作ればよいのではないかと考えることもできるだろう。しかし、アシロマ会議当時、遺伝子操作の商業的価値はわずかだった一方、現在のAI技術にはビッグテックの巨額の資金がかかっている。果たしてこのような状況で、全面的に個人の善意に依存するシステムが信頼できるのかという疑問がある。
このようにAI技術の危険性に備えるために過去の経験をそのまま活用するには限界があり、具体的な方策を整えるのは容易ではない。アモデイ氏もブログへの投稿で上記のさまざまな方策を組み合わせた対策を提示したが、それほど説得力があるものではなかった。おそらく今のところは、人類は新たな挑戦に対して常に適切な対応策を講じてきたという事実を思い起こしながら、実現可能な方策を模索し続けるしかなさそうだ。
呉世正(オ・セジョン)/ソウル大学物理天文学部名誉教授・元総長
【中央時評】AI技術開発の統制、果たして可能か(1)
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