2004年12月、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(右)が、イラクのザイトゥーン部隊を訪問して将兵を激励している。青瓦台写真記者団
あれから60年が過ぎた今、当時の当惑がよみがえった。トランプ米大統領がイラン関連の協力要請を韓国政府が「ノー、サンクス(No, thanks)」と拒否したとして不満を表すと、韓国政府はホルムズ海峡と中東地域への軍事的貢献、あるいは非戦闘資産の派遣を検討すると発表した。そうなれば、同じ民族である韓国と北朝鮮が同時に、北はロシア、南は米国と共同軍事作戦を行う形になる。
現在の外交・安全保障上のジレンマは、1年前に米ジョージア州の現代自動車・LGエナジーソリューション合弁工場で韓国人約300人が突然拘束された事態と本質的に同じだ。当時、私はこのコラム(2025年9月17日付「我々に米国とは何か」)で、米国が韓国の安全保障と経済発展に大きく寄与してきた友好国である一方、同盟も徹底して国益に基づいて動くという事実を忘れてはならないと強調した。ホルムズ派兵問題はその原則をまた試している。経済において米国第一主義に対抗するには断固たる原則と主体性が必要だったように、安全保障においても同盟という理由だけで国家の生存がかかった安全をあまりにも簡単に譲り渡すことはできない。
実際、イランは韓国がホルムズ海峡に派兵すれば「直接的な戦争参加」と見なし、強力に対応すると警告した。エネルギー資源の大部分を中東に依存し、強大国間の複雑な地政学的環境の中で生き残らなければならない韓国にとって、紛争地域への派兵は米国との友好関係を超え、中東に滞在する韓国人や企業の安全、そして国家の安全と国民生活に直結する重大な問題だ。
憲法が国軍の海外派遣に国会の同意を求めている理由もここにある。国民の生命と国家の運命を左右する決定を行政府だけに委ねてはならないということだ。政府は「検討中」という言葉の陰で決定を固め、国会の同意を形式的な手続きにしてはいけない。賛否をあらかじめ決めておくのではなく、公開された情報と十分な議論を通して決定する必要がある。
政府はまず、派兵の目的と限界、参加方式を明らかにしなければいけない。韓国船の護衛と機雷除去に限定するのか、それとも米軍の作戦のための偵察・情報共有や兵站支援まで含むのかを明確にするべきだ。作戦区域と期間、指揮系統、武力行使の基準、兵士の撤収条件も具体的に提示することが求められる。イランをはじめとする中東諸国との外交・経済関係に及ぼす影響についても隠すことなく説明しなければいけない。国連などを通じて国際的な正当性が確保され、任務が民間船舶の安全と自由な航行などに限定された多国間体制であれば検討する余地は大きくなる。
また、党利党略に基づく消耗的な政争を避け、安全保障と経済、外交的な実利と国民生活を包括する幅広い議論を通じて、国民的合意を導かなければいけない。2003年のイラク派兵の際、韓国政府は韓米同盟と北朝鮮核問題を考慮して難しい決断を下したが、戦争の大義と派兵の効果をめぐる対立は韓国社会に傷を残した。今回も「同盟が要求しているから行くべき」「米国の戦争だから無条件に反対する」といった陣営論理に陥ってはならない。そして正当な過程と手続きに基づき決定したのであれば、団結して滞りなく実行するとともに、それに相応する同盟としての責任と国益も確実に保障されなければならない。
韓米同盟は韓国の安全保障における重要な軸だが、一方の要求に服従する関係ではない。
韓国は60年前の恩恵に依存していた国ではなく、人口が5000万人以上、1人あたりの所得が4万ドルに達する、いわゆる「50-40グループ」に属し、世界の先端産業サプライチェーンの一翼を担っている。韓米両国は互いの国民と主権を尊重し、負担とリスクを合理的に分担するパートナー関係でなければいけない。合理的な理由に基づく丁重な断りや代案の提示は同盟に亀裂を生じさせるのではなく、対等な関係の下で健全で強固なものにする道だ。
政府の最優先義務は国民の生命と国益を守ることだ。派兵を無条件にタブー視する必要も、同盟からの請求書のように受ける理由もない。必要なのは断固たる姿勢と慎重さを併せ持つ主権国家としての判断だ。それがホルムズの狭い海で韓国が守るべき広い原則だ。
鄭雲燦(チョン・ウンチャン)同伴成長研究所理事長/元首相/ソウル大総長
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