6日、ロシアのカフカス山脈にあるミジルギ山で発生した雪崩。[オンラインコミュニティ キャプチャー]
事故当時、一行は雪や氷に覆われた斜面での移動や、安全を確保する技術を学んでいた。受講者は一般の人ではなく、ロシア政府の保安・治安関連機関の職員だったとされる。中にはロシア国家親衛隊の隊員もいた。このため、オンラインコミュニティでは、受講者はロシアの特殊部隊「ビチャージ(Vityaz)」の隊員ではないかとのうわさが広がったが、関係機関はこれを否定した。
事故の原因はまだ明らかになっていない。ただ、ロシア山岳連盟(FAR)のスポーツクライミング委員長、アレクサンドル・ヤコベンコ氏は、今回の雪と氷の崩壊は、数十年に一度しか起きないほど大規模なものだったと述べた。現場にいた人々によると、雪と氷は訓練場所のすぐ上ではなく、はるか上方の斜面から崩れ落ちた。巨大な氷の塊が下の氷河に衝突し、その衝撃と運動エネルギーが加わって、雪と氷が瞬く間に下方の訓練場所まで押し寄せた。積もった雪が斜面に沿って流れ下る一般的な雪崩とは異なる。
その後も崩壊は続いた。事故翌日の7日には、ミジルギ山の上部で雪庇(せっぴ、雪がひさし状に張り出した部分)が再び崩れた。その後も崩壊の危険が続き、救助隊が現場での捜索を中断するほどの状況だった。
こうした崩壊の様相は、先月26日にネパールで大洪水を引き起こしたランタン・リルン(7234メートル)付近の氷河と岩盤の崩壊に似ている。衛星画像の分析により、ランタン・リルンでは標高約5200メートルの氷河と、それを支えていた基盤岩が一緒に崩れ、巨大な氷と岩石の塊が谷に落下したことが確認された。2つの事故は規模や地形こそ異なるが、上方で大量の氷や雪が崩れ、そのエネルギーが伝わることで、下方にまで大きな影響を及ぼした点で共通している。
気候変動との関連にも注目が集まっている。ランタン・リルンの崩壊の直接的な原因が気候変動だったと確認されたわけではない。しかし専門家は、高山地帯の気温上昇で氷河や永久凍土が解けると、岩石や氷を支えていた構造が弱まり、大規模な崩壊が起きやすくなる可能性があると説明する。一つの危険が別の危険を引き起こす「山岳災害の連鎖(cascading hazards)」のリスクも高まっているという。
ニュージーランド地球科学研究所(Earth Sciences New Zealand)の主任科学者、サイモン・コックス氏はロイター通信に対し、「気候変動によって、高山の岩石や氷が不安定になりやすい環境が生まれている」とし、「このため、崩壊や山岳災害の連鎖がより頻繁に起こる可能性がある」と述べた。気温の上昇によって、急斜面を支える氷が弱まり、雪や氷が解けて生じる水の量が増えるほか、凍結・融解や降水のパターンが変わり、山の斜面が不安定になる可能性があるという。
モンブランで20年近く活動してきた山岳ガイドのスチュアート・マクドナルド氏はAP通信に対し、「最も怖いのは、以前ならこの時期に登っていたルートで落石が起きることだ」とし、「以前は7~8月に登れた場所に、今ではまったく行けなくなってしまい、気がめいることもある」と述べた。
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