人工知能(AI)企業オープンAIのロゴ。ロイター=聯合ニュース
オープンAIが90年以上解けなかった数学の難題を88時間で解決したと明らかにし学界が衝撃に包まれている。10年前の「アルファ碁ショック」以降、囲碁分野で人間とAIの逆転が発生したとすれば、今回の難題解決は学問研究パラダイムの転換点になるだろうという見通しだ。生成AIが大衆の前に姿を表わして社会全般を揺るがした「チャットGPTモーメント」からわずか4年。AI技術の進歩が数千年の人類の数学の歴史を超えている。
オープンAIは8日、自社未公開AIモデルが「7大数学難題」のひとつである「ナビエ・ストークス方程式の存在と滑らかさ」の解決策を導出したと明らかにした。7大難題は2000年に米国のクレイ数学研究所が1問当たり100万ドルの解決賞金をかけて選定し、「ミレニアム問題」ともいう。これまで解決が認められた問題は2002年にロシアの数学者グリゴリー・ペレルマン氏が証明した「ポアンカレ予想」だけだった。
オープンAIによると、今回の難題解決研究は今月1日から始め、約88時間が経過した5日に解決策に到達した。約1万個のAIエージェントが互いに疎通しながら問題を解き、この過程で数百万ドル規模のコンピューティング資源を消費した。研究に使われたモデルは3日に公開された「GPT-6アストラ」より性能が良いモデルだ。ナビエ・ストークス方程式は19世紀にクロード・ルイ・ナビエとジョージ・ガブリエル・ストークスの研究で誕生した。
◇「200年過ぎても解けない難題、アルファ碁より衝撃」
水と空気のような流体がどの方向にどのように動くかを説明するための方程式で、気象予測などに活用される。1934年にフランスの数学者ジャン・ルレはこの方程式で一般的な意味の解が存在するということを証明した。だが最初から滑らかだった解が時間が過ぎても滑らかさを維持するかは未解決問題として残っていた。オープンAIは滑らかな流体の速度が一定時間過ぎても続けて上昇する状況が数学的に可能であることを証明したと主張する。同社は「われわれはもうAI発展の次の段階に入り込んだと信じている」と明らかにした。
学界では学問としての数学が「アルファ碁登場後の囲碁」の道を歩むことになるのではないかとの懸念が出ている。AIに囲碁を教えた棋士がいまはAIの棋譜を研究することになったように、数学の研究でも同様のことが起きるだろうという懸念だ。人間固有の領域とされた創意的学問活動分野までAIが狙うようになった状況だ。
蔚山(ウルサン)科学技術院(UNIST)数理科学科のチェ・ギュドン教授は「まったく解けないと考えられた問題でアルファ碁よりも衝撃が大きい。おそらくAIがなければ100年、200年過ぎても解けなかったと思う」と話した。続けて「今後学問的功労を人間の研究者とAIにどのように配分するかが重要な問題になるだろう。学界では『今後公開される論文は基本的に人がすべてやったとは見難い』という意見も出ている」とした。
一部では今後数学の裾野を広げた学者に授ける「数学界のノーベル賞」と呼ばれるフィールズ賞などがなくなるのではないかとの見通しもある。
ただ完全な学問的成果と認められるためには時間がかかる見通しだ。米国の学界ではオープンAIが学界研究者の研究進展を横取りしたという疑惑も起きている状態だ。ニューヨーク大学のトリスタン・バックマスター教授は、自身がこの問題を解決している最中で、オープンAIが自分たちの未公開研究を活用したと主張した。バックマスター教授は「モデルに問題を入力し数日で簡単に見つけ出せるほどの方向ではない」と明らかにした。
延世(ヨンセ)大学機械工学部のイ・ジュンサン教授は「AIが人間の解けなかった数学的難題の証明を探索し形式的に検討する新たな研究ツールに発展する可能性を見せた事例。だが最終的な妥当性と学問的な意味を認めるには専門家の検証が必要だ」と評価した。
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