ベッセント米財務長官。AFP=聯合ニュース
米財務省は先月、長期国債買い戻し規模を既存の2倍に拡大した。米国の負債が急増し30年物国債利回りが19年ぶりの高水準に上昇したことから電撃的に市場防衛に出たのだ。
ベッセント長官の過去の師匠であり伝説的なヘッジファンド投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏すら「価格操作であり大きな失敗だ。債券市場が送るシグナルに耳を傾けよ」と直撃した。しかしベッセント長官は「市場が政策を決めるように放置しないことが私の仕事」として退かなかった。
ベッセント長官に市場は「無条件でついて行かなければならない正解」ではなく、「必要なら調整しなければならない対象」に近い。最近の円安防衛に向け日本銀行に追加利上げを公開要求したのは米国債市場の利害関係と関係している。彼は「私は市場が知らない情報を握っている」とし、政策当局の判断が市場に優先する可能性があることを明確にした。
第2次トランプ政権で初代財務長官に指名された時だけでもウォール街では彼が内閣の「最も大人な人物」になるだろうと期待した。実際に昨年4月に世界を相手にした関税戦争の局面で大統領を説得し相当部分を猶予させた水面下の調整者が彼だった。インフレと財政赤字の危険性を警告してきただけに市場では彼を「トランプの暴走を防ぐ防波堤」と考えた。
だがいまのベッセント長官はだれよりも「トランプっぽい」参謀だ。過去にヘッジファンドを運用していた当時、「関税はインフレを誘発する」と主張したが、公職に入ってからは関税やリショアリングなどトランプ大統領の経済観を積極的に説明している。中国、イラン、とカナダなど摩擦が起きている国との舌戦もいとわない。
ベッセント長官は「市場の失敗は存在し、最大の効率性が最大の安全保障を意味したりはしない」と力説する。半導体や核心鉱物など戦略産業は政府が垣根を立てて供給網を再編するが、その中で減税と規制緩和で民間活力を引き出すという腹案だ。ブルームバーグは「財務省が貿易交渉から財政政策、国家安全保障まで総括する万能部署に変貌した」と指摘した。市場でも彼をやむなく政策に従うウォール街のエリートではなく、トランプ式経済観を現実の金融市場で具現する核心設計者と評価している。
ベッセント長官は2028年まで財政赤字GDP3%達成、実質成長率3%、原油生産1日300万バレル増産を骨子とした「3・3・3構想」を掲げている。最近主要20カ国(G20)財務相会議で「唯一の脱出口は成長で突破すること」としながら、人工知能(AI)とエネルギーなど民間設備投資で経済規模を育て負債比率を低くするという構想を明らかにした。
懐疑論も少なくない。アリアンツのルドビク・スブラン最高投資責任者(CIO)は「GDP比財政赤字が7%に達する状況で負債を安定させるには実質成長率4%と物価上昇率3%が必要だがこれは非現実的数値」と指摘した。それでもベッセント長官は「債券市場の混乱がどこにあるのかわからない」として成長に対する確信を折らない。結局米国経済の疾走の有無が「ベッセント長官実験」の成否を分ける見通しだ。
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