前線地域に大規模な兵力を投入し、作業を進めている北朝鮮軍。[合同参謀本部]
問題は、境界線越えが単なるミスではないという点だ。北朝鮮は前線の要塞化を進めながら、道路や陣地を設け、地雷まで埋設して兵力を定期的に移動させている。一部の移動経路がMDLの南側を通っているため、境界線越えと警告射撃が繰り返される構図になっている。韓国軍の対応も変わらなければならない。
しかし、これまでの韓国軍の対応には懸念を抱かざるを得ない。昨年末、国防部関係者が北朝鮮軍によるMDL侵犯の際、警告射撃に先立って状況を綿密に評価するよう指示し、軍首脳部も機械的に対応するのではなく、状況に応じて判断するよう求めていたことが分かった。さらに、最前線で弾の入っていない銃を携えて警戒に当たっていた実態や、前線部隊が警告射撃を控えてきた状況も明らかになった。韓国軍が消極的になればなるほど、相手が韓国側の警戒態勢を試す可能性は高まる。韓国軍は、北朝鮮との衝突を避けることだけに気を取られていたのではないか、自ら省みる必要がある。
北朝鮮は最近、朝鮮労働党規約から「平和統一」や「民族大団結」など統一に関する表現を削除し、「敵対する二国家」路線を一段と明確に打ち出した。韓国との統一を目指す路線の放棄と最前線の要塞化は、同じ方向を示している。ただでさえ、北朝鮮は核・ミサイル開発を強化している。このような北朝鮮を相手に、韓国軍が最前線の警戒を緩めることは、自ら安全保障の堤防を崩すことになる。
監視装置を前進配備するだけでは不十分だ。北朝鮮によるMDL侵犯を容認しないという原則を明確にし、国連軍司令部とも監視・対応体制について緊密に調整しなければならない。姜信哲(カン・シンチョル)国防部長官候補は、就任後、MDL問題を最優先課題と位置付け、乱れた軍の規律と緩んだ対北朝鮮警戒態勢を立て直すべきだ。安全保障は、言葉や譲歩ではなく、断固たる原則と圧倒的な対応力によって守るものだ。
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