ネパールの洪水を取り上げたガーディアン(左)やワシントン・ポスト(右)など主要海外メディアの記事について、デザイナーのファティマ・ハムダニ氏らが、洪水と気候変動の関連性について曖昧に記された部分を赤字で修正した。[インスタグラム キャプチャー]
米国の非営利気候研究団体バークレー・アースは2日、ネパールで氷河と岩盤の崩壊が起きた標高5200メートルの高地を対象に、夏季(6~8月)の気温を分析した。欧州中期予報センターの気候再解析データ(ERA5)と、ヒマラヤ高地の気象観測所のデータを用いて、この地域の気温を算出した。
その結果、1940年代初頭には、この地域の夏季平均気温は0.5度前後にとどまっていたが、2020年代に入ると3~3.6度まで上昇した。世界の平均気温は産業化以前に比べて1.4~1.5度上昇しているが、ヒマラヤの高地では約70年間で3度も急上昇したことになる。
今年の夏も、2024年、2025年、2022年に次いで、観測史上4番目に暑かったと分析された。特に今回の崩壊は、6日間にわたる高温状態が終わるころに発生した。
急斜面にある氷河が溶けると強度が低下し、崩壊の危険性が高まる。また、融解水が地中の隙間に染み込み、氷と岩石の境界面を滑りやすくする可能性もある。気候変動が氷河や岩盤の崩壊を引き起こす直接的なきっかけとなったかどうかは断定できないものの、崩壊の危険性を高めてきたことは明らかだとの見方だ。
分析を行ったバークレー・アースの主任科学者、ロバート・ローデ氏は、「ネパールのこの氷河は数十年にわたり、徐々に薄く、弱くなってきたのだろう」とし、「そしてついに、観測史上最も暑い年の一つだったその年の、最も暑い1週間に崩壊してしまった」と語った。
◇欧米メディアの記事を赤字で修正…ネパール首相「気候変動は共同責任」
ヒマラヤ山岳地帯には氷河が集中しており、南極、北極に次ぐ「第3の極地」と呼ばれている。温室効果ガスの排出による地球温暖化は、こうした極地でさらに加速する傾向にある。累積炭素排出量が世界全体のわずか0.01%にすぎないネパールが、気候災害に最も脆弱な国となった理由だ。
特に今回の惨事によって国家的な危機に直面しているネパールでは、米国、中国、インドなど主要な温室効果ガス排出国への批判が高まっている。ソーシャルメディア(SNS)では、主要海外メディアの記事に赤字で注釈を入れて批判した投稿に、3万件を超える「いいね」が付いた。その投稿は、欧米メディアが洪水と気候変動の関連性を明確に指摘していないと批判する内容だった。
ネパール政府も、温室効果ガス排出国に対し、気候災害への補償を正式に要求した。ネパール財務省は、国際社会に補償を請求する公式書簡をすでに送付している。
ネパールのバレンドラ・シャハ首相は同日、SNSに「今回の事態は、氷河内部の融解水によって氷河の下部で氷と水が混ざり合い、発生した可能性がある」とし、「気候変動によって、私たちがヒマラヤ地域で直面する危険がますます大きくなっていることを示す重大な警告だ」と投稿した。
続けて、「今回の災害の原因が気候変動にあることに疑いの余地はない」とし、「気候変動は世界全体がともにつくり出した結果である以上、災害への対応もまた、世界全体が共同で負うべき責任だ」と強調した。
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