中国のAI動画制作プラットフォーム「Seedance」のPR映像。
中国がこの分野で先行した背景には、構造的な理由がある。抖音(ドウイン)、快手、小紅書(シャオホンシュー)を中心に、世界最大のショート動画エコシステムが築かれているためだ。快手だけでも、今年第1四半期の1日平均利用者数は4億1270万人、月間利用者数は7億7170万人に上る。LLMの主要な原料がテキストだったとすれば、動画生成AIには、人や物の動き、カメラの切り替え、表情、画面構成など、はるかに複雑な映像情報が必要になる。中国企業は数十億人の利用者を通じ、こうしたデータを何年にもわたって蓄積してきた。モデルを作ってから利用者を探すのではなく、すでに数億人の利用者を抱えるプラットフォームにAIをすぐ導入できることが最大の強みだ。
映像AI競争の構図も変わった。半導体の確保とモデルの規模がすべてだったLLM競争とは異なり、映像AIでは、どのような映像を学習したか、利用者の反応をどれだけ速く製品に反映できるか、生成コストをどこまで引き下げられるかが競争力を左右する。米国による先端半導体の輸出規制で構造的に不利な立場にある中国が、この分野で先行している理由だ。現在1位のWan 3.0と2位のグーグルモデルとの差は、Eloスコアでわずか5点しかない。絶対的な技術格差ではなく、激しい首位争いが繰り広げられている。
◇Kコンテンツは何を守るべきか
韓国は、K-POP、ドラマ、ウェブトゥーンなど、世界的な競争力を持つコンテンツを擁している。しかし、こうした強みを映像AIのデータやモデルの競争力につなげるエコシステムは、まだ形成されていない。
中国がショート動画のエコシステムで蓄積した映像データを使ってAIモデルを育てる一方、韓国のKコンテンツは、ユーチューブやNetflixという海外のプラットフォーム上で消費されてきた。データは蓄積されたが、そのデータで学習したAIモデルは韓国のものではない。コンテンツは韓国が作り、そのコンテンツで訓練されたAIは他者が手にする構造だ。中国製モデルが性能と価格競争力を武器に、韓国の広告・映像制作現場にまで入り込めば、この構造はさらに固定化する。韓国は世界的なコンテンツを生み出しながら、それを制作するAIツールには中国製を使うという逆説に陥るのではないかと懸念されている。
AI生成ドラマを地上波で放送…中国、AI映像制作技術でも先行(1)
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