8月31日に中国の湖南テレビで放送されたAIドラマ『後西遊記』の一場面。[百度(バイドゥ)キャプチャー]
マンゴーTVが製作し、伯璟文化が実制作を請け負ったこのドラマには、バイトダンスの動画生成AIモデル「Seedance(シーダンス)2.0/2.5」の技術が使われた。制作期間は約4カ月で、制作費は従来の実写ドラマの10分の1程度だ。放送直後、マンゴー・エクセレント・メディア(芒果超媒)の株価は同日、値幅制限の上限となる20%高を記録した。中国本土のA株市場では、AI映像・アニメーション関連株が一斉に急騰した。
このドラマの意義は、単なるコンテンツにとどまらない。中国で初めて放送当局の正式な認可を受け、衛星テレビ局のゴールデンタイムに編成されたドラマで、全編がAIで生成されているからだ。中国が「広電21条」政策を施行して以降、初めて審査と放送が同時に行われたAIドラマでもある。これは、AIコンテンツがスマートフォンの小さな画面を飛び出し、地上波を通じて家庭のテレビに正式に進出したことを告げる出来事だ。
◇短編から長編へ、熱を帯びる市場
市場は2025年にはすでに熱を帯びていた。中国のAIショートドラマ市場は、2025年以降、爆発的な成長を続けている。2025年の市場規模は200億元(約4770億円)に迫ったが、2026年にはわずか5カ月で220億元を突破した。中国の調査機関、DataEye研究院は、2026年の中国におけるAIショートドラマ・アニメーション市場全体の規模が、400億元に達すると推計している。前年比138%の成長だ。
ショートドラマ制作に使われる世界のAIモデル10種のうち、8つをアリババ、MiniMax、バイトダンス、快手(クアイショウ)などの中国企業が占めた。8月31日、世界的なAI性能評価機関Artificial Analysis(アーティフィシャル・アナリシス)の「テキスト→動画」部門のランキングで、アリババの「Wan 3.0」がEloスコア1242で1位となった。グーグルのGemini Omni Flash(1237点)が2位、MiniMax H3(1227点)が4位、バイトダンスのSeedance 2.0(1221点)が5位に入った。
これは、巨大言語モデル(LLM)分野で米国が最前線を走る状況とは、まったく異なる光景だ。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、中国が映像AIで競争力を示している背景として、膨大なショート動画のエコシステムや自前のデータ、モデル改良の速さ、積極的な価格戦略を挙げた。
AI生成ドラマを地上波で放送…中国、AI映像制作技術でも先行(2)
この記事を読んで…