ネパールで大洪水が発生したラスワガディの下にあるトリシュリ・バザール・タウンの様子。 [AFP=聯合ニュース]
コダリ・樟木は長い間、ネパールと中国(チベット)を結ぶ代表的な陸路だった。チベットのラサから始まり、エベレスト(8848メートル)の北側でトレッキングを終えた旅行者がネパールに降りてきたり、逆にネパールのカトマンズからチベットに入る際に利用していた道だ。しかし、2015年の地震で道路が寸断され、ちょうど中国が支援したラスワガディ・吉隆の国境路が開通したことで、主要な陸上ルートとなった。
しかし、この道はコダリ・樟木に比べてはるかに危険だと知られている。6月にカトマンズからジープに乗ってラスワガディ・吉隆を越えてチベットを訪れたオム・ホンギル隊長(67)は、「前の道(コダリ・樟木)よりも狭くて危険に見えた。(中国国境の検問所へ向かう道は)ブラックホールに入るような感覚だった」と語った。
◆中国の支援で開かれた新しい国境の道
カトマンズ・ポストなど現地メディアによると、ラスワガディ・吉隆の道は中国の支援で建設された。中国は2007年にラスワガディのふもとにある都市シャブルベシから国境までの道路建設を支援することを約束し、約16キロメートルの区間を2012年に完成させた。 2014年には国境を越える道が開かれたが、その後コダリ・樟木が地震の被害を受け、ネパールと中国(チベット)を結ぶ唯一の陸路となった。
ロイターの報道によると吉隆は国境検問所とともに物流施設や貨物置き場などがあった。中国側の防犯カメラに映った、巨大な水流に巻き込まれた建物だ。また、吉隆は中国と南アジアを結ぶ一帯一路(Belt and Road)ネットワークの主要拠点だった。
ラスワガディ・吉隆検問所を経てチベットへ向かう陸路は、聖山カイラス(6656メートル)へ向かう主要なルートだ。ネパールでカイラスとマナサロバ湖を訪れる旅行者は、この検問所を通過しなければならない。今回の大洪水で外国人の被害が大きかったのもこの理由だ。ほとんどの旅行者は、ラスワガディや吉隆で国境を越えるために一泊する。
また、このルートはラサから出発するよりも旅程が短く、費用も少なくて済む。現地メディアは、当時ラスワガディ付近でカイラスへ向かう旅行者が400人以上待機していたと伝えている。大洪水以降、連絡が途絶えた外国人はこれよりも多いものと確認されている。特にインド人が多く、この道を通ればインドからカイラスまで陸路で移動できる。
一方、チベットを訪れる韓国人旅行者は主にラサから旅程を始める。ラサ空港に降りて西へシガツェとサガを経由し、カイラスへ移動した後、アリ(阿里)地域の空港を利用してラサに戻る。ラサから出発して国境を越えてカトマンズに降りる場合もあるが、多くはない。
◆ネパールとチベットの国境道路はもともと険しい
ラスワガディ・吉隆の国境の道は、ヒマラヤの険しい谷に沿って続いている。ラスワガディのふもとの都市シャブルベシからラスワガディまでの区間も急傾斜の山岳地形だ。集中豪雨が降ると、土砂崩れなど常に危険が伴う場所だ。
オム隊長は、カトマンズから国境検問所へ向かう途中、崩壊した橋など、昨年の洪水被害の痕跡がそのまま残っていたと語った。オム隊長は「狭い峡谷の横に道を作っていて恐ろしかった。早くその場所を離れたいという思いばかりだった」と語った。また、ネパールの人々はすでに峡谷の上部の氷河崩壊を心配していた。オム隊長は「一緒に行ったネパール人の仲間がその時『氷河に溜まった水が噴出したら大変なことになる』と言っていた」と伝えた。
中国はチベットからネパールなど南アジアへと続く交通路を拡大している。かつて人やヤクが通っていた高山地域の険しい道を、自動車や大型貨物が通行できるように道路を整備している。道路のおかげで物流や観光のアクセスは良くなったが、氷河や峡谷がある高山に道路ができたことで自然災害のリスクは高まった。
今回の大洪水は、26日にネパールと中国チベットの国境地域のランタ・リルン(7234メートル)山の北側斜面で、幅約600メートルの氷河がレンデ・コーラ(峡谷)川側に崩れ落ちたことによって発生したと推定されている。氷河崩壊後、膨大な量の水と土砂が流れ出し、レンデ・コーラ川とトリシュリ川の近くの村を襲った。300人余りが死亡し、1500人以上が行方不明となっているものと確認されている。
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