2019年6月29日、ドナルド・トランプ米大統領が非武装地帯(DMZ)の軍事境界線で金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長を待っている。AFP=聯合ニュース
イラン戦争の「泥沼」から抜け出すために性急に対話を進めれば、下手をすると「核保有国としての承認」という北朝鮮の宿願だけをかなえることになりかねないとの指摘だ。
◇核・ミサイルを持つ北朝鮮…「軍事オプションない」
FOXニュースは、今秋に金委員長との会談再開を宣言したトランプ大統領の構想について「イランとの核対立にとらわれる中で出てきたもの」と指摘した。続けて「イランとは違い、北朝鮮はすでに成熟した核兵器と多様な運搬システムを保有している」とし、これは「その脅威を軍事的に除去する可能性をほとんど残さず、8年前より合意への道をさらに狭めた」との見通しを示した。
トランプ大統領がイランに対しては核開発を阻止するという名分で先制攻撃を加えたのとは異なり、実際に核攻撃を行う可能性がある北朝鮮に対しては軍事的オプションを適用するのが難しいとの分析だ。
トランプ大統領は就任初日に金委員長を「核保有勢力(nuclear power)」と呼び、4月には韓国を念頭に「核戦力のすぐ隣の厳しい場所に4万5000人の兵力を置いている」と述べた。19日には「北朝鮮は57発の非常に強力な核兵器を保有している」とまで述べた。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長はFOXニュースに対して「トランプ氏は率直に言って、イランに対する世論を転換したいようだ」とし、「北朝鮮のように50発、60発、さらには70発の核兵器と複数の運搬システムを保有する国に対する軍事的解決策は事実上ない」と述べた。
◇中国・ロシアが支援…「てこ弱まった」
国連の対北朝鮮制裁による深刻な経済難と食糧難に陥っていた北朝鮮に「経済的繁栄」を約束して接近した2018年の朝米会談当時とは異なり、北朝鮮は現在、経済的に余裕が生じている点も変数だ。
北朝鮮はウクライナ戦争を契機にロシアに大量の砲弾・ミサイル・兵力を提供し、その見返りとして手厚い経済支援を受けた。ロシアは2024年、対北朝鮮制裁の履行を監視していた国連専門家パネルの任期延長を拒否し、監視体制を無力化した。中国も北朝鮮の核問題に対する公式の言及を急激に減らし、経済協力を強化する動きを見せている。北朝鮮が米国と交渉する理由がさらに減ったという意味だ。
このため、完全かつ迅速な非核化合意は現実性が低いというのが大方の見方だ。軍備管理協会の不拡散政策責任者、ケルシー・ダベンポート氏は「北朝鮮の核兵器を迅速になくす『グランドバーゲン(一括妥結)』はない」とし、「核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験の中断、核物質生産の凍結、危機時の意思疎通ライン構築のような限定的な合意がより現実的だ」と提言した。
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