ドナルド・トランプ米大統領が5日(現地時間)、ラスベガスのカジノリゾートで開かれた行事で演説を終えた後、支持者の前で特有のダンスを披露している。AP=聯合ニュース
不利な選挙情勢を覆すため、会談を性急に実現させようとするトランプ大統領の立場は、北朝鮮に有利な結果につながる可能性がある。しかも2期目の政権には、トランプ大統領の即興的な決定を牽制(けんせい)する、いわゆる「大人たちの軸」がない。会談実現のために過度な譲歩をしても、トランプ大統領の決定にブレーキをかける参謀が事実上存在しないという意味だ。
◇追い込まれたトランプ大統領…選挙用「パフォーマンス」会談?
トランプ大統領が示した金委員長との会談時期は「年内」だ。支持率が連日最低値を記録する中で行われる11月3日の選挙を念頭に置いた可能性が高い。現時点では11月18~19日に中国深圳で開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を会談の時期として想定しているとの見方が多い。
ただ、APECは中間選挙より約2週間遅い。朝米会談を選挙情勢を変える「オクトーバーサプライズ」として使うには、選挙直前の10月中に強力で目に見える成果が出なければならない。
スティムソン・センターのケリー・グリコ上級研究員は20日(現地時間)、中央日報に「金正恩氏との劇的な対話は、選挙を控えて『新聞の見出し』が切実に必要な時期に、彼が望む見出しを飾る機会を提供するだろう」とし、「専門家は会談が成果を上げるとはみていないが、こうした現実的な評価がトランプ大統領の試みを阻んだことは一度もなかったという点を思い起こす必要がある」と話した。
一部では、トランプ大統領が最も劇的な効果を狙って平壌(ピョンヤン)訪問を推進するとの見方も出ている。こうなれば、現職米大統領として初めて軍事境界線を一歩越えたトランプ大統領は、「初めて平壌を訪問した大統領」という記録を選挙戦でアピールできる。ただ、平壌会談は警護や保安など現実的な制約が多く、実現は難しいとの見方も出ている。
◇「忠誠派」だけで固めた内閣…牽制装置がない
ジョン・ボルトン元米大統領補佐官(国家安全保障担当)はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で「トランプ大統領は1期目にも(北朝鮮に)一方的な譲歩をしたが、こうした過ちはさらに深刻になった」とし、「もしホワイトハウスの関心が北朝鮮から別のところに移らなければ、彼のソーシャルメディアを通じて『世界唯一の世襲共産主義独裁者とのブロマンスを再開するため平壌に飛んでいく』というニュースが伝えられるだろう」と警告した。
ボルトン氏はジェームズ・マティス元国防長官、ジョン・ケリー元大統領首席補佐官らとともに、トランプ政権1期目にトランプ大統領の独走をけん制した「大人たちの軸(axis of adults)」に属した人物だ。彼らは金委員長との会談を前に、まず「在韓米軍撤収」をプレゼントしようとしたトランプ大統領を阻止し、寧辺(ヨンビョン)の核施設解体と北朝鮮制裁解除を交換しようとした「スモールディール」を食い止めた。
トランプ大統領は彼らと対立し、結局決別した。再選を果たしたトランプ大統領は、自身に直言する人物を完全に排除し、忠誠派だけで内閣を構成して前面に配置した。親トランプ派のFOXニュース司会者だったピート・ヘグセス氏を国防長官に任命したのが代表的な例だ。
「けん制装置」ないトランプ氏、選挙用会談?…「韓国パッシング」懸念拡大(2)
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