北朝鮮が短距離弾道ミサイル10発余りを一斉に発射した20日、ソウル駅で北朝鮮のミサイル発射に関するニュースが放送されている。[聯合ニュース]
こうした重大な状況に対する韓国政府の認識と対応はあまりにも楽観的だ。安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官は前日、国会で北朝鮮の核保有量を「80~120発程度」と推定しながらも、北朝鮮を核保有国として認めることはできず、米国は非核化を放棄したのではないと評価した。これに先立ち李在明(イ・ジェミョン)大統領も「まず凍結し、長期的には非核化する」という方針を示している。当面の核能力の増強を阻止することは急務だが、交渉の過程で現実論と容認との境界が薄れ、北朝鮮の核保有が固定化され、非核化が目標から消えてしまうことには警戒しなければならない。
さらに大きな問題は、急激な変化が進む中で、韓国政府の声が十分に反映されていない点だ。トランプ大統領の指示で韓米合同軍事演習が突然縮小される過程で明らかになった同盟間の意思疎通不足と情報からの排除は深刻な課題を残した。こうした状況では、在韓米軍の運用の変化さえも事前協議なしに通告されるかもしれない。にもかかわらず、李大統領は演習縮小に「敬意を表する」と述べ、またトランプ大統領のペースメーカーを自負した。朝米対話の促進に固執し、安全保障態勢の変化が持つ重大な意味を軽視していないか心配だ。
北朝鮮は前日、東海(トンヘ、日本名・日本海)上に短距離弾道ミサイル約10発を発射したのに続き、金与正(キム・ヨジョン)労働党総務部長が「これほど楽しんでいた戦争ごっこができなくなったソウルの哀れな立場」と題する談話を発表した。トランプ大統領の「一言」で韓国が演習をやめることを嘲笑し、李大統領が演習縮小に敬意を表したことや自主国防を強調したことを「二重的な言動」だと非難した。米国の決定に韓国の声が反映されず、北朝鮮までもこれを嘲笑する状況は、トランプ政権1期目に浮上した「コリアパッシング」問題を想起させる。
韓国政府は北朝鮮との対話を実現させること自体を成果と見なすのではなく、その対話が韓国の安全保障に及ぼす影響を冷静に見極めなければならない。交渉が核凍結や軍備管理に重点を置くとしても、在韓米軍と拡大抑止、韓米連合防衛態勢だけは決して取引の対象にはならないというという原則を明確にするべきだ。韓国の利益が排除されないよう、能動的な対応戦略を急いで整える必要がある。朝米間の取引を傍観するだけの立場に転落し、国家安全保障を担保に入れるような過ちを犯してはならない。
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