ドナルド・トランプ米大統領(右)が2018年6月、シンガポールで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談を前にあいさつを交わしている。AFP=聯合ニュース
米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部門長はこの日、ワシントン・ポスト(WP)への寄稿「イランは核兵器を持てないのに北朝鮮は可能なのか? これには論理がある」で、「トランプ氏はイランと北朝鮮の核プログラムに対して正反対の行動を取っている」とし、「イランに対しては核兵器保有を容認できないという絶対的な立場だが、北朝鮮に対しては実用主義的で妥協的なアプローチを取っている」と指摘した。
しかし、チャ氏はトランプ氏のこうしたアプローチを「二重基準」と批判するのは不当だと主張した。イランと北朝鮮が保有する核プログラムの能力には著しい違いがあり、異なるアプローチを取らざるを得ないという論理だ。
チャ氏は、米国が昨年6月と今年2月にイランの核施設を攻撃したことについて、イランの核開発プログラムが初期段階にあるうえ、核施設の位置が知られており、先制攻撃の対象になり得たとみた。
しかし、北朝鮮の状況は異なる。北朝鮮は約60発の核兵器と、さらに30発を製造できる核分裂性物質を保有している。これにミサイルなど多様な運搬手段まで備えており、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の適用は難しいとチャ氏は評価した。トランプ氏もこの日、北朝鮮の核兵器保有規模を57発と明らかにした。
経済制裁をめぐる状況もイランと北朝鮮では異なる。チャ氏は、イラン制裁に対する国際的な支持は依然として強いほうだが、北朝鮮の場合、中国とロシアの支援を受け、国連安全保障理事会レベルの対北朝鮮制裁が事実上無力化したとみた。
イラン・北朝鮮の核をめぐる周辺の利害当事国の立場の違いも、トランプ氏が相反する行動を取る理由の一つに挙げられた。チャ氏は「進歩性向の李在明(イ・ジェミョン)大統領は韓半島(朝鮮半島)で軍事的対峙を望んでおらず、トランプ氏の対北朝鮮外交を歓迎している」とし、「しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はイランにCVIDを要求するよう促してきた」と主張した。
続けて「中国も自国周辺(北朝鮮)で米国が武力を使用するのを防ぎ、ウクライナ戦争以降強固になったロシアと北朝鮮の関係を弱めるため、トランプ氏と北朝鮮との対話拡大を支持する可能性がある」と付け加えた。
チャ氏は、ミサイル開発で協力してきた歴史を持つイランと北朝鮮が、核問題で互いを見て学ぶ可能性があることも米国の悩みを深めていると指摘した。チャ氏は「米国によるイラン攻撃は、北朝鮮に核兵器に対する確信をさらに植え付けただろう」とし、「イランは核プログラム再建の支援を受けるため北朝鮮に手を差し伸べるかもしれない」と述べた。
チャ氏は最近、北朝鮮の非核化を長期的な目標としつつ、北朝鮮の核脅威という現実を認め、北朝鮮と核軍縮・不拡散交渉を行うべきだとの立場を明らかにしてきた。
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