トランプ大統領が批判したEMALSを搭載した空母「ジェラルド・R・フォード(CVN-78) [米海軍]
米国の軍事メディア「ブレーキング・ディフェンス」によると、トランプ大統領は国家安全保障大統領覚書(NSPM)に署名し、米海軍の次世代フォード級空母に従来型の蒸気式カタパルトと油圧式エレベーターを再び導入するよう命じた。建造が半分近く進行中のCVN-81「ドリス・ミラー」から電磁式カタパルト(EMALS)を取り外して蒸気式に戻すというものだ。
トランプ大統領は以前から電磁式カタパルト(EMALS)を批判してきた。1期目の2017年当時からEMALSについて「複雑すぎるうえ、電力を使うため莫大な費用がかかり、故障した場合に専門家でなければ修理もできない」と露骨な不満を示してきた。また「アインシュタインほどの頭脳がなければ理解できないシステムだ」とし「数十年間にわたり検証されてきた従来型の蒸気式こそ米海軍に最も適している」との主張を繰り返してきた。昨年10月に米空母「ジョージ・ワシントン」に乗艦した際にも行政命令を出してでも蒸気式カタパルトと油圧式エレベーターに戻すと公言し、今回の大統領覚書でその主張をついに現実化したのだ。
しかし米国の軍需産業界や軍事専門家は今回のトランプ大統領の命令について、現実を無視した致命的な誤りだと口をそろえて指摘している。蒸気式カタパルトへの再転換が現実的にほぼ不可能とされる理由は大きく3つある。
1つ目、「設計上の根本的な不一致」だ。フォード級空母は当初から電動化・デジタル化を前提に設計され、艦内の調理や暖房、海水淡水化にいたるまで電力を利用する。高圧蒸気を生成してそれをカタパルトまで送り込む配管システムは、そもそも設計されていない。すでに建造中の艦艇に蒸気配管網を新たに設置するには、艦内の構造を全面的に再設計しなければならない。
2つ目、「サプライチェーンと製造基盤の喪失」だ。
米海軍が最後に蒸気式カタパルトを購入したのは20年以上前だ。関連部品の供給業者や専門の製造ラインはすでに解体されたか、別の業種に転換している。サプライチェーンを新たに再構築するだけでも巨額の初期投資と数年の時間がかかる。EMALSを製造するゼネラル・アトミックスが明らかにしているように、すでに建造が約50%進んだ段階で方針を転換すれば、天文学的なコスト増加とスケジュールの遅延は避けられない。
3つ目、「戦術的な後退」だ。EMALSは軽量なドローンから重量がある戦闘機まで、出力を細かく調整して発艦させることができ、次世代の航空戦力を運用する上で重要なシステムだ。一方、重量に応じた細かな調整が難しい蒸気式では機体に加わる衝撃が大きく、無人機の運用にも制約が伴う。
チェ・ヒョンホ/ミリドム代表/軍事コラムニスト
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