サムスン電子は2024年、初の「ギャラクシーリング」を公開した。軽量なチタン素材と10ATM防水機能を備え、ギャラクシーAIを通じて健康データを分析する。[写真 サムスン電子]
スマートリングの歴史は、2015年にフィンランドのヘルステック企業オーラ(Oura)が「オーラリング」を発売したことから始まった。オーラは技術力とデザインを武器に市場をリードしてきたが、2024年にはサムスン電子も「ギャラクシーリング」を発表し、競争に参入した。薄く軽いデザインに加え、指のジェスチャーでスマートフォンを操作する機能などが追加され、スマートリングへの大衆の関心も高まった。
価格の壁も低くなっている。オーラとサムスン電子のスマートリングが50万~70万ウォン(5万6000円~7万8000円)台のプレミアム製品として市場を形成してきた一方、リンコン(中国)、ウルトラヒューマン(インド)、ブリング(韓国)などさまざまなブランドが8万~10万ウォン台の製品を発売し、参入障壁を下げている。高価で見慣れなかったスマートリングが、今や「一度試してみる価値のある機器」の領域に入ってきているということだ。
今年1月、米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES」は、変化したスマートリング市場を一目で示す舞台となった。新興企業からIT大手まで、実に24種類のスマートリングが初披露された。ブルームバーグによると、AIチャットボットで健康データを分析したり、血液検査データと連動したりする製品が登場した一方、フィットネス機能をあえて省き、別の用途に特化した製品も登場した。用途や機能に応じて急速に細分化している。
スマートリングの変化は、機能や価格だけにとどまらない。発売初期には厚みがあり無骨だったデザインも、次第に滑らかになり、ジュエリーに近づいている。オーラは2022年、グッチと協業し、ウェアラブル機器がファッションアイテムへと広がる可能性を示した。最近では複数の指輪とスマートリングを重ね着けするスタイルも登場するなど、ファッションとの接点も広げている。
市場への期待も高まっている。市場調査会社IDCによると、今年の世界のスマートリング出荷量は490万台で、前年比12.8%増となる見通しだ。スマートウォッチが2.8%減と逆成長となる中、スマートリング市場は今後も20%台半ばの成長率を維持すると予測されている。
◇指輪より重要なのは「データ」
スマートリングの本当の競争力は、指輪そのものよりも、その中に蓄積されるデータにある。利用者はアプリに蓄積された記録を手放し、別のサービスへ移行することが難しくなる。いわゆる「ロックイン効果」だ。指輪を1つ販売して終わるビジネスではなく、利用者の健康記録が蓄積されるほど、サービスとの関係が深まる。スマートフォン企業がスマートリングに注目する理由だ。
もちろん、まだ乗り越えるべき課題もある。海外では公共交通機関の決済まで対応しているのに対し、韓国国内では関連インフラが十分に整っておらず、活用度が限られている。個人の健康データ流出への懸念や、指の太さに合わせてリングサイズを選ばなければならない不便さも、大衆化に向けて解決すべき課題だ。
何より健康管理機器であるだけに、データの正確性に対する検証も必要だ。ニューヨーク・タイムズは6月、イェール大学のエリカ・スパッツ博士の発言を引用し、「ウェアラブル機器は心房細動のような危険な心拍異常を検知するのには有用だが、血圧や睡眠段階のような指標はまだ正確に測定することが難しい」と伝えた。ほかの専門家も、数値そのものを過信するより、生体リズムの傾向を見るよう助言している。
スマートリングをめぐる競争は、今まさに始まったばかりだ。ただ、技術が急速に進化する中で、消費者が実感できる用途と信頼性をどれだけ確保できるかが、大衆化の鍵となる。京畿(キョンギ)科学技術大学のチョ・チュンハン教授は「スマートリングがアーリーアダプターだけのものから脱し、大衆市場へ広がるには、明確な消費者ターゲットの設定が重要だ」とし、「ウェアラブル機器は単なるアクセサリーとは異なり、日常生活で必要な機能を中心に需要が形成されるため、最近台頭しているスマートグラスとは異なる価値を打ち出す必要がある」と述べた。
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