サムスン電子は2013年、米国の国際電子製品博覧会「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」の基調演説で、財布やパスポートのような形の4対3比率の折りたたみスマートフォンを未来のビジョンとして提示した。[写真 YouTubeチャンネル「SMD Wireless」キャプチャー]
Fold8のデザインはパスポートから着想を得た。旅行者がパスポートを持ち歩くように、片手で無理なく持てる一方、開けば広い画面を使える点に着目した。従来の折りたたみスマートフォンには「わざわざフォルダブルにする必要があるのか」という疑問がつきまとったが、Fold8は折りたたんだ時と開いた時、それぞれの利用価値を明確にしたとの評価だ。キム・ドクジンITコミュニケーション研究所長は「Fold8はグローバルなライフスタイルの変化に合わせ、YouTube・ウェブトゥーン・電子書籍などのコンテンツ消費体験を最大化したフォームファクター」と分析した。
◇13年ぶりに現実となった「パスポートフォン」
こうしたデザインは一朝一夕に生まれたものではない。サムスン電子は2013年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)ですでに、財布やパスポートのように折りたたんだり開いたりする4対3比率のスマートフォンを提示していた。しかし、技術的な限界から厚すぎ、重すぎた。
絵に描いた餅だった「パスポートフォン」を13年ぶりに現実のものにしたのは、結局のところ技術だ。サムスン電子とサムスンディスプレイはFold8に、従来より強度を約20倍高めた「チタン合金フィルム」を採用し、ディスプレイの厚さを12%減らした。「強化チタンプレート」も新たに開発し、微細な穴の大きさを縮小して折り曲げ部分をより緻密に支えるようにした。これにより、折りたたみスマートフォンの弱点である画面の折り目も大幅に改善された。
変数となるのはアップル(Apple)の折りたたみスマートフォン市場への参入だ。アップルは9月、「iPhone Ultra」という名称の4対3比率の折りたたみスマートフォンを発売する予定だ。サムスン電子が先に切り開いた「パスポート型折りたたみスマートフォン」市場にアップルまで加われば、フォームファクター競争は一段と激しくなる見通しだ。サムスン電子デバイスエクスペリエンス(DX)部門長(社長)の盧泰文(ノ・テムン)氏は「成熟した市場にはより多くの企業が参入することになるため歓迎する」と話した。
フォームファクターの革新は一度実現すれば長期間続くため、本当の勝負は「目新しさ」が薄れた後に決まる見通しだ。最初に感じた魅力を持続的な使用体験につなげることが次の課題となる。高麗(コリョ)大学技術経営専門大学院のイ・ソンヨプ教授は「今回の新製品はデザインと性能の両方を確保したという点で成果がある」としながらも、「価格競争力で引き続き先行し、人工知能(AI)エコシステムも強化してこそ、サムスンが折りたたみスマートフォン市場で1位を守ることができるだろう」と話した。
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