地下空気を活用して室温を下げている済州(チェジュ)のサムホ農場の分娩舎で、子豚が母豚の乳を飲んでいる。[写真 サムホ農場]
サムホ農場のヤン・ソンリョン代表にその秘訣を尋ねると、地面の下を指さしながらこう話した。
「外より6~7度低い室温を24時間維持できるのは、天然のエアコンの役割を果たす冷たい地下空気のおかげだ」
ヤン代表は「母豚は子豚を産む過程で熱を放出するため、分娩舎内の温度を適切に保つことが重要だ」とし、「地下空気を循環させれば、別途、機械式の冷房設備を使わなくても室温を涼しく保つことができる」と説明した。
一方、通常の肥育舎では、ラジエーターの原理を応用した「クーリングパッド」が大きな役割を果たしている。外気が水を通過する際の気化冷却を利用する方式で、温度を3~4度ほど下げる。大型の冷房装置の代わりに小型の水槽用モーターだけで水を循環させるため、エネルギー消費も比較的少ない。
ヤン代表は「冷房費で数千万ウォンもの電気料金がかかる大型豚舎もあるが、うちは住宅を含む農場全体の1カ月の電気料金が250万~300万ウォン(約28万~34万円)程度だ」と話した。
◇猛烈な暑さで4万頭余りが死亡
豚は暑さに弱い動物だ。汗腺が発達していないうえ、脂肪層が厚いため、体内の熱を外に逃がしにくい。夏の猛暑が厳しくなるほど、死亡する豚が増えるのはこのためだ。今年の夏も9日までに4万5382頭の豚が暑さに耐えられず死亡した。
しかし、地下空気のような自然を活用した冷房システムのおかげで、サムホ農場では今年の夏、死亡した豚はごくわずかにとどまった。ヤン代表は「暑さがあまりにも長引いているため、死亡する豚は普段より月に10頭ほど増えてはいるが、被害が非常に大きい一般の農家と比べれば、まだましなほうだ」と話した。
ただ、こうした自然を活用した冷房システムの普及は容易ではない状況だ。汚水・廃水の流入による地下水汚染への懸念から、済州道は地下空気設備の新規許可を中止している。すでに設置している農家に限り、厳格な点検を経たうえで使用を認めている。
◇「その場しのぎの対策には限界…エネルギー効率の高い適応技術の導入を」
問題は、多くの養豚農家が猛暑に弱い構造のままであることだ。猛暑が深刻化する中、冷房設備を設置する農家は増えているが、電気料金の負担が大きく、停電事故のリスクもある。畜産業が夏を乗り切るだけでなく、気候変動に適応できるよう、エネルギー効率の高い技術を導入するなど、飼育環境を根本的に転換することが急務だとの指摘が出ている。
国連食糧農業機関(FAO)と世界気象機関(WMO)は、共同報告書「極端な高温と農業」で、「高温現象が深刻化する中、従来の応急的な対応策はすでに限界に達している」とし、「事前の気候適応対策とともに、温室効果ガスの削減を並行して進めなければならない」と指摘した。
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