米空軍のB61-12戦術核爆弾 [写真 米空軍]
(1)米国核戦略の変化、欧州核共有の拡大につながるか
米国が核戦略を全面的に見直しながら、冷戦以降維持してきた核抑止概念に変化を予告している。米NBCニュースは5人の情報筋を引用し、米国が敵の核攻撃に対する報復と、大都市や戦略施設を狙った戦略核の運用に重きを置いた従来の核戦略を、実際の戦場で活用可能な戦術核兵器の役割を一段と強化する方向に転換しようとしている、と報じた。これは、中国とロシアという2つの核保有強大国を同時に抑止するべき新たな安全保障環境と、ロシアの戦術核の脅威が現実化した欧州の戦場を反映した結果という評価だ。
米国防総省が検討中である新しい核戦略は、核兵器を単なる最後の報復手段ではなく、制限的な核攻撃にも即刻対応できる柔軟な抑止手段として活用することに焦点を合わせている。特に低威力の戦術核と非戦略核兵器の運用比重を高め、核使用のハードルを下げようとするのではなく、むしろロシアが戦術核の使用を選択するのが難しくなるよう抑止力を強化するという意図が込められているという分析だ。中国の急速な核戦力増強と、ロシアの非戦略核兵器の拡大は、米国が従来の戦略核中心の抑止概念だけでは十分ではないという判断を下した背景に挙げられる。
こうした米国の戦略の変化は、欧州でも新たな核配備議論へとつながっている。独メディアであるジュートドイチェ・ツァイトゥングによると、NATO(北大西洋条約機構)はロシアの軍事的な脅威が続く状況で核抑止態勢を強化するため、米国の戦術核を東欧に拡大配備することを検討している
核共有体系に参加していなかったポーランドとともにフィンランド、リトアニアが新しい候補地に挙がり、これはNATOの核抑止の前線を従来の西欧から東部前線へと拡張しようとする動きと解釈される。特にフィンランドはNATO加入以降、安全保障政策の変化を推進し、リトアニアも関連する法的基盤を検討するなど、東欧諸国の態度の変化が表れている。
このような議論がすぐに核兵器の配備につながるわけではない。NATOの内部でも軍事的な必要性と政治的な波紋をめぐり意見が分かれ、従来の西欧の基地でも十分に抑止が可能という主張も提起されている。にもかかわらず、米国の核戦略の再検討とNATOの核共有拡大に関する議論が同時に進行しているという点は、西側の核抑止の概念が新たな局面に入っていることを示している。
(2)トランプ級戦艦費用めぐりまた論争
米国議会予算局(CBO)が米海軍のBBG(X)と呼ばれるトランプ級戦艦事業に対する新たな費用分析を出し、事業の経済性と実現可能性をめぐる論争がまた広がっている。8月5日に発表した報告書によると、トランプ級戦艦15隻を建造するのに約2750億ドル(約44兆円)かかると推算し、これは米海軍が提示していた初期の予想よりも大きく増えた数値だ。特に、先導艦に約234億ドルの投入が予想され、単一の水上艦としては米海軍史上、最も高価な軍艦となる可能性が提起されている。
トランプ級戦艦は次世代駆逐艦DDG(X)計画を発展させた概念であり、原子力推進と大型船体を基盤とし、極超音速ミサイル、長距離打撃体系、大規模な垂直発射機、高出力レーザーやレールガンなど、未来の武装を統合した超大型水上戦闘艦を目標としている。単なる駆逐艦ではなく、空母打撃群を支援する指揮・打撃プラットフォームとして活用するという構想であり、中国海軍の急速な戦力拡大に対応して米国の海洋優位を維持しようとする戦略的な意味も込められている。
CBOは事業費の増加以外に、米造船産業の生産能力も重要な問題に指摘した。現在、米国で監視力軍艦を建造できる造船所は限られていて、バージニア級攻撃型原子力潜水艦とコロンビア級戦略原子力潜水艦、フォード級空母の建造も同時に進行している。ここにトランプ級戦艦まで追加する場合、建造日程の遅延と人材・サプライチェーン(供給網)の不足が深刻化する可能性が高いということだ。実際、最初の艦艇も完成まで約8年がかかると予想し、全体事業は2050年代半ばまで続く見通しだ。
事業の戦略的価値に対する論争も続いている。賛成論者は極超音速兵器や次世代エネルギー兵器を運用できる大型プラットフォームが未来の海戦に必須だと主張する。特に、十分な電力生産能力と大型の弾薬積載空間を確保した戦艦は、レーザー兵器や長距離精密打撃体系を効果的に運用できるという点で、従来の駆逐艦よりも発展した概念という評価を出している。
反対論者は、現代の海戦で大型水上艦は長距離対艦ミサイルや無人体系の集中攻撃に脆弱であり、同じ予算で多数の駆逐艦や無人水上艇、潜水艦を確保する方が戦闘効率性がより高いと指摘する。特に、米海軍がすでに従来の艦艇の維持・保守や潜水艦の建造にも困難がある状況で、超大型戦艦事業は財政と産業基盤に過度な負担を与えるという懸念も提起されている。
【ミリタリーブリーフィング】「最後の手段? 今はもう実戦用」…米国「より強い核戦略」で中ロを狙う(2)
この記事を読んで…