「2つの国家論」が「2つの外国論」にならないように…憲法の枠組みで平和共存解決策求めなくては
国務委員長の権限を大幅に強化した部分も目に付く。社会主義から後退したというがそれだけ指導者の権限は強化した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に金日成(キム・イルソン)「主席」以上の権限を独占的に付与し、体制守護に隙はないという意志を現わした。唯一指導力を強化した国務委員長は核武力指揮権を独占し、委任権まで新設して各種危機状況に備えた制度的装置を構築した。
何より関心を引いたのは「2つの国家論」と関連した内容だ。憲法第2条に「朝鮮民主主義人民共和国領域は北に中華人民共和国とロシア連邦、南に大韓民国と接している領土とそれに基づいて設定された領海と領空を含む」と宣言してだ。金委員長は2024年1月16日の最高人民会議での施政方針演説を通じ、韓国を「徹底した他国」であり「最も敵対的な国」と規定した。また、大韓民国憲法に「領土条項というものが堂々と明記されて」いるので自分たちも領土条項を新設すべきとし、「戦争が起きた場合には大韓民国を完全に占領・平定・収復し、共和国領域に編入させる問題を憲法に反映」することを命じた。
これは「領土・領海・領空の具体化」「敵対的交戦国関係論明記」「戦時占領、平定、編入威嚇の公言」という3大基調を憲法に明文化するという超強硬宣言である点で大きな関心を集めた。そうした中で北朝鮮は2年が過ぎた今年、憲法改正を通じて領土条項を新設しながらも「敵対的交戦国関係論」や「戦時占領、平定、編入論」は挿入しなかった。金委員長の3つの指針のうちひとつだけ実行に移した形だ。領土条項を新設し2つの国家論を明確にしながらも、一定部分で水準を調節したものという評価の中で韓国政府と国際社会も対応戦略を摸索している。
◇北朝鮮、3月に「2つの国」改憲後DMZ要塞化
北朝鮮の憲法は改憲に負担がない軟性憲法に分類される。したがっていつでも状況により「交戦国関係論」と「戦時占領、平定、編入論」が憲法に登場するのは時間の問題という見方も依然として強い。これに対し改正憲法が革命論的統一論の代わりに正常国家を強調しながら体制安定を図るのに注力したという評価もまた残る。「敵対的両国論」に突き進む余地はあるがその始まりを「正常な」2つの国から出発したという解釈が出ているのも同じ脈絡だ。
北朝鮮の憲法改正後、韓国政府の悩みも深まっている。北朝鮮の2つの国家論があいまいな論理の中で提示された点から、これに対する解釈と対応にもより慎重を期する姿勢だ。国内では主に3つの対応論理が目立つ。まず、2つの国家論が旧東ドイツ式「2つの外国論」になってはならないという規範的前提の下で、韓国は旧西ドイツ式「特殊関係論」で対応しなければならないという主張だ。「国と国の間の関係ではなく、統一を指向する過程で暫定的に形成される特殊関係」という南北基本合意書序文の用例にわれわれはなじんでいる。だが基本合意書の「特殊関係」が実体的法理を持っているのかに対しては疑問符が付く。
実際に旧西ドイツは旧東ドイツの「国の地位」を認め、東西ドイツ基本条約を合法的に締結することによって両独関係を巡航させることができた。だが国際法的に東ドイツを国家承認するという「行為」に出なかったため、東ドイツの「2つの外国論」を無力化させることができ、統一後も東ドイツ地域に対する排他的管轄権を主張するのに成功できた。
これに対し韓国憲法第3条の領土条項と国家保安法は北朝鮮政府を僭称政府であり反国家団体と規定している。これに沿えば北朝鮮政府の国際法的承認どころか北朝鮮の国の地位さえも受け入れることはできない。憲法第4条の平和統一規定と第3条の領土条項の間の規範調和的解釈論も広く知られているが依然として第3条優位の解釈が圧倒的なのが現実だ。改憲しなくてはどんな南北合意も違憲議論から自由になれないという指摘が出るのもこうした理由からだ。
特殊関係論に対する北朝鮮の反発も無視しにくい変数だ。国の地位を認めると言いながら国家承認行為はしないという論法に対し、北朝鮮は信頼構築ではなく敵対性の反映であり、吸収統一意志を隠すための陰謀という見方を示してきた。さらには北朝鮮の急変事態後に韓半島(朝鮮半島)問題の国際化を阻止するためにも特殊関係論を維持しなければならないという主張に対し、北朝鮮当局は「『民主』を標榜しようが『保守』の仮面をかぶろうが少しも違うところがない」という非難を浴びせてきた。
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