5月、韓米国防長官会談を行った安圭佰(アン・ギュベク)国防部長官とヘグセス米国防長官 [写真 国防部]
政府は10月の韓米定例安保協議(SCM)で転換時点を確定するなど「時期」に重点を置いているが、米国が強調する「条件」の特性上、確定が難しい側面もある。韓国国民の意見も割れている。戦作権を主権国家の自尊心と考える人たちは一日も早い転換を求め、国家安全保障を懸念する側では時期尚早という雰囲気だ。
合同参謀本部議長として在職中(2013~2015年)に「時期による転換」を検討した当事者の筆者にとって、現在の状況は格別に近づく。2006年から提起された戦作権の転換は、政権が交代するたびに立場が変わり、混乱を招いてきた。政府が戦作権を米国に委譲したのは韓国戦争(朝鮮戦争)初期の1950年7月14日だ。北朝鮮の奇襲侵攻で危機に立たされた李承晩(イ・スンマン)大統領の苦肉の策だった。国を守る力がなく、当時の国連軍司令官(マッカーサー)に軍事作戦の全権を渡したのだ。
◆韓米連合防衛体制が前提
その後、1994年に平時作戦統制権は韓国(合同参謀本部議長)に返還されたが、戦時作戦統制権(戦作権)はまだ米国(連合司令官)が行使中だ。連合司令部はその権限を持って作戦計画、軍事力建設、訓練など戦争企画業務を主導している。わが国は意思決定の過程で意見を提示して協議をするものの、自国の立場を貫徹するのは容易でない。国家安全保障に直結する核心的な企画体系にわが国の意志を完全に反映させられないのが現実だ。一例として、2014年の作戦計画改定の過程でわが国は北朝鮮の核兵器の脅威を反映させようとしたが、結局、容易ではなかった。
また、連合司令部側が中期計画に反映された韓国軍のK-9自走砲の弾薬予算削減を主張して苦労したこともある。過去70余年間、軍事作戦に関する業務を連合司令部が主導し、わが国がそれを補佐する体制に慣れてしまった側面もある。「他人」がやることを手伝うのと「自分」が直接するのは次元が異なる。北朝鮮は韓国戦争以降、独自で指揮権を行使しながら戦争を準備してきたが、わが国は戦争企画業務に関する実戦経験が不足しているのも事実だ。したがって国家の存亡に直結する核心的な事案である戦作権転換問題に感情的に接近することは警戒しなければいけない。
何よりも最近、北朝鮮が質・量ともに成長を見せているミサイルは、新たな脅威に浮上している。これは戦作権を取り戻すには、わが国が北朝鮮の核・ミサイル脅威を実効的に抑止できる能力を考慮しなければいけないという意味だ。これまで米国が対北抑止力を担ってきた背景には、米国に対する北朝鮮の恐れが作用した側面が大きい。北朝鮮が挑発すれば世界最強の米国との戦争が不可避という現実認識だ。結局のところ、戦作権転換後も強固な韓米連合防衛体制を前提としなければならない。もちろん戦作権の転換プロセスにおいては、軍事的な要素だけでなく、政治・外交的に解決するべき課題も多い。まず「米軍は他国に軍の指揮権を渡さない」という「パーシング原則(Pershing Principle)」を克服する必要がある。法的効力はないものの、情緒的に容易でない課題だ。
ここに、トランプ政権が推進している「米国優先主義」や在韓米軍の柔軟な運用(戦略的柔軟性)といった政策も影響を及ぼす。これは、戦作権転換条件とは別の問題だ。
【韓半島平和ウォッチ】戦作権転換の本当の条件は韓米連合防衛と北核抑止だ(2)
この記事を読んで…