北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今月9日、北朝鮮軍の最高意思決定機関である労働党中央軍事委員会拡大会議を開き、対南・海外情報収集および工作業務を統括する機関「偵察情報総局」の強化を指示し、核武力を質的・量的に拡大・強化するという従来の方針を再確認した。 [朝鮮中央テレビ=聯合ニュース]
12日、国会国防委員会に所属する庾竜源(ユ・ヨンウォン)国民の力議員が国防部から提出を受けた「軍対象の類型別サイバー侵害現状」によると、韓国軍を狙ったサイバー攻撃の試みは2021年の1万1700件から2022年には9115件へと減少した後、2023年に1万3599件、2024年に1万4419件へと増加した。特に昨年(2025年)は1万8591件と集計されたが、これは2022年比で108%増、2024年比で31%増だ。
攻撃の類型別にはホームページ管理者の権限獲得を試みる「ホームページ侵害」が1万8792件(昨年)で最も多かった。信頼できる発信者や件名に見せかけて添付ファイルを開くよう誘導する「ハッキングメール」攻撃も2023年の16件から昨年は127件に急増し、サイバー攻撃の手口が多角化している。サイバー作戦司令部は庾議員室に提出した資料で「最近、北が悪性コード(マルウェア)の制作や偽装就職の試みなど従来のハッキング攻撃に人工知能(AI)を活用していることが把握されていて、北のハッキング能力が高度化していると推定される」と明らかにした。
一方、サイバー脅威に対応する軍内の専門人材を確保する環境はむしろ悪化している。国防部はサイバー安全保障に特化した人材を確保するため2012年からサイバー専門士官候補生を選抜している。特定の大学の学科から学生を選抜し、1人あたり「軍加算服務支援金」として約4000万ウォン(約430万円)相当の授業料を支給する。学生は卒業と同時に任官後、サイバー作戦司令部や777司令部などに配置され、サイバー分野の脅威分析、セキュリティ、フォレンジック調査などの任務を遂行する。
しかし庾議員室が国防部から提出を受けた「サイバー専門士官の退役および長期服務現状」によると、2016~2019年に任官したサイバー専門士官104人のうち89人(約85%)は7年間の義務服務を終えた後に退役を選択している。国費支援でサイバー専門人材に養成された人の10人に8人が義務服務だけを終えて軍を去ったということだ。
昨年は卒業生24人のうち7人だけが任官を選択した。任官を拒否する場合は支援金を返還しなければならないが、それを覚悟してもサイバー専門士官になることを放棄する人が出ている。これには、最近AIやサイバーセキュリティ分野への投資が集中し、関連人材に対する需要と待遇が高まっている世間の雰囲気が影響しているとみられる。
これは最近、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が対南・海外情報収集および工作業務を統括する機関「偵察情報総局」の強化を指示した点とも関連し、懸念を呼んでいる。労働新聞によると、今月9日に金正恩委員長が出席して開かれた北朝鮮軍の最高意思決定機関である労働党中央軍事委員会拡大会議では、「潜在的な敵対勢力の脅威を管理し、重要な情報を収集するのに核心的な役割を果たしている偵察情報総局の職能と任務を多角的に拡大し、総局の軍事偵察および情報・諜報能力を画期的に向上」させるための核心的な案が提示された。
偵察情報総局は従来の人民軍総参謀部傘下の偵察総局を拡大・改編した組織だ。軍の情報当局は北朝鮮が総参謀本部偵察総局を中心にサイバー戦を遂行しながら約8400人のハッカー戦力を運用していると推定しているが、金正恩委員長が情報・サイバー戦能力の強化を強調しただけに人員や規模が拡大されるとの見方が出ている。
庾議員は「北がサイバー攻撃能力を高度化させている状況で、サイバー専門人材が義務服務だけを終えて軍を去る構造を放置してはならない」とし「サイバー専門人材の確保から養成、長期服務へとつながる体系的な人材管理システムを構築するべきだ」と指摘した。
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