猛暑が揺るがす世界の衣料品サプライチェーン
12日、ブルームバーグによると、衣料品の生産拠点が集中するインド、バングラデシュ、ベトナムなどでは、猛暑による生産への支障が現実のものとなっている。衣料工場は猛暑の影響を特に受けやすい。数百人の労働者がミシンやアイロン設備が密集した空間で働いている上、多くの工場では断熱設備や換気設備も十分ではないためだ。
その影響は、H&M、ZARA、ルルレモンなど世界的なファッション企業の業績にも及んでいるとの分析が出ている。現在、世界のアパレル産業の市場規模は約1兆7000億ドル(約275兆円)に達し、関連労働者は9000万人を超え、その多くがアジアに集中している。米ニューヨーク大学(NYU)スターン・スクール・オブ・ビジネスは最近、「世界の衣料品輸出の約70%はアジアで行われており、猛暑は一部の国だけの枝葉的な問題ではなく、世界の衣料品サプライチェーン全体を揺るがすリスク」と分析した。供給不足やコスト上昇につながる可能性があるという意味だ。
ファッション業界は、新型コロナウイルス禍でサプライチェーンの混乱を経験した後、中国依存を減らすため東南アジアなどへ生産拠点を分散してきたが、今度は猛暑という新たなリスクに直面している。コーネル大学グローバル労働研究所(GLI)は、バングラデシュ、カンボジア、パキスタン、ベトナムなどで猛暑や洪水が続けば、2030年までに衣料品輸出が約650億ドル減少する可能性があると試算した。
ファーストリテイリング(ユニクロ運営会社)の取り組みも注目されている。同社は協力企業と複数年契約を結ぶことで知られる。単価引き下げのため毎年生産先を変更するのではなく、長期契約を通じて工場が設備や労働環境に投資するよう促している。世界的ブランド向けODM・OEM企業である香港系のアパレルメーカー「エピック・グループ」もその一例だ。エピック・グループは今年4月、インド・オディシャ州で猛暑を考慮して設計した新工場を稼働させた。最大1万人が働くこの工場は、二重扉や大型空気循環設備、断熱性能を高めた屋根などを備え、外気温が34度を超えても工場内を28度に維持できる。ブルームバーグは、猛暑対策は単なる福利厚生ではなく、生産性や品質、納期競争力に直結していると評価した。
エピックグループのビドゥラ・ララパナウェ副社長はブルームバーグのインタビューで、「変化はあまりにもゆっくり進むため、問題そのものに気づきにくい」と述べ、アパレル業界は猛暑リスクを過小評価してきたと指摘した。ラルフローレンやリーバイスなど約1100社が加盟する米国アパレル・フットウェア協会(AAFA)は、「猛暑対策の費用を協力企業だけに負わせず、ブランド側も負担すべきだ」とするガイドラインを公表した。これに伴い、投資家が注目すべきポイントも変化している。
ブルームバーグは、これまではブランド力や売上高成長率、原価率が主要な評価指標だったが、今後は生産拠点をどれだけ安定的に運営できるかも重要な投資判断基準として浮上していると分析した。協力企業との長期契約、労働環境の改善、生産拠点の分散などが企業業績や供給能力を左右するという意味だ。企業ごとの対応戦略にも差が出ている。アジアでの生産比率が高い世界的ファッション企業は、猛暑対策のための設備投資やコスト負担が一段と増える可能性がある。
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