米国代表のFWフォラリン・バログン(ASモナコ) [ロイター=聯合ニュース]
処分内容の妥当性とは別に、一国の首脳による介入が大会の公平性や米国代表への信頼を損ないかねないとの懸念が背景にある。
SNSでは、FIFAの今回の決定を揶揄(やゆ)するさまざまなミームが広がっている。このうち、バログンがレッドカードを提示する審判に対し、トランプ氏の顔が描かれたカードを突き付ける人工知能(AI)の合成映像も拡散している。
共和党所属の下院議員を務めた後にトランプ大統領と決別したアダム・キンジンガー元下院議員は5日(現地時間)、X(旧ツイッター)に「FIFAまでもがトランプ一族の腐敗に関与している」と投稿し、「米国が優勝したとしても、公平か不公平かにかかわらず、その記録には今後ずっとレッテルがついたままになる」と主張した。
これは、米国代表が今後実力で勝利を収めたとしても、今回の問題によって生じた疑惑を完全に払拭することは難しいとの指摘だ。
米スポーツ専門メディアESPNのサッカー担当記者マーク・オグデン氏も、「FIFAがバログンを特別扱いしても、誰の利益にもならない。米国代表にとってさえ」と懸念を示した。
同氏は「仮に米国が6日にベルギーを破ったとしても、世界のサッカー界はそれを苦しみながらつかんだ戦術的勝利とは見ないだろう」とし、「開催国が裏で腐敗した政治的工作によってルールを変更したというレッテルが永遠に残ることになる」との見方を示した。
◇「勝っても負けてもルーズ・ルーズ」…政界・評論家からも批判
米政治評論家のサイラス・ヤンセン氏は今回の問題について、「米国代表にとっては『ルーズ・ルーズ(lose-lose)』の状況だ」とし、「ベルギーに勝ったとしても、大統領による不正が必要だったという理由で勝利の価値は薄れるし、ベルギーに敗れれば、大統領が不正を働いても勝てなかったことになる」と批判した。
続けて「本来、大統領にはFIFAの決定を覆させる権限などあってはならない。しかしトランプ大統領は在任中に示してきたように法の上にあり、米国には牽制(けんせい)と均衡が存在しない」と指摘した。
米評論家ブライアン・クラッセンスタイン氏も「今や米国がW杯で優勝したとしても疑念が持たれることになる。トランプ氏には感謝したい」と皮肉を込めて語った。
◇出生市民権問題も俎上に…「皮肉だ」との指摘
トランプ大統領が廃止を推進してきた出生市民権の問題を引き合いに出し、今回の問題を皮肉る声も上がった。
フリーランス記者のジュリア・イオッフェ氏は「自ら廃止しようとしていた出生市民権によって米国代表となったバログンなしでは勝てないと思い、FIFAに電話をかけたとは何とも皮肉だ」と指摘した。
バログンは2001年、米ニューヨークで生まれ、出生市民権によって米国籍を取得した。当時、英国籍の両親がニューヨークを旅行中にバログンを出産した。
一方、米保守系メディアのFOXニュースは、トランプ大統領がジャンニ・インファンティーノFIFA会長に電話をし、バログンに対する処分は不当だとの立場を伝えたと報じた。
また、トランプ大統領やハワード・ラトニック商務長官らが、この判定に異議を申し立てるため外部の弁護団を結成したとも伝えた。
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