ドル連動型ステーブルコイン「テザー(USDT)」のイメージ [ロイター=聯合ニュース]
29日の英ガーディアン紙によると、米ルイジアナ州の地域銀行ギャランティ銀行では過去90日間に顧客の口座から約4万ドルが暗号資産に流出した。金額自体は大きくないものの、銀行側は大規模な資金流出の前兆とみている。トロイ・リチャーズ銀行長は「ステーブルコインの発行会社や取引所が利息やリワードまで上乗せすれば、預金が流出する速度はさらに速まる」と懸念を示した。
こうした危機感の中、約4000の地域銀行を代表する全米独立地域銀行協会(ICBA)は今月初めから数十万ドル規模の広告キャンペーンを始めた。「暗号資産の大企業に特権を与えれば、その代償は地域社会が払うことになる」というのが核心的なメッセージだ。ICBAの試算によると、ステーブルコインが拡散すれば最大1兆3000億ドル(約210兆円)の預金が流出し、8500億ドル規模の中小企業・農業融資も縮小するという。
標的は議会に提出されている「クラリティ法(CLARITY Act)」だ。暗号資産の取引・発行・仲介を連邦規制の枠組みに組み入れる市場構造法であり、5月14日に上院銀行委員会を15対9で通過した。最大の争点はステーブルコインのリワードだ。単に保有することに対する利息は制限するものの、決済や送金など実際の利用に連動したリワードは認める方向で妥協が図られたが、銀行界はこれも預金と変わらない収益をもたらすとして反発している。銀行のように資金を集めながら資本や流動性の規制は免れるという「規制差益」が生じるという指摘だ。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)もフォックスビジネスのインタビューで「銀行はそのような方式を受け入れない」として加勢した。一方、暗号資産業界は「地域社会の保護ではなく、時代遅れのビジネスモデルを競争から守ろうとしているにすぎない」と反論している。
法案通過の見通しは決して明るくない。トランプ一家の暗号資産をめぐる利益相反、資金洗浄(マネーロンダリング)・分散型金融(DeFi)の規制をめぐる意見の対立が依然として残っているからだ。
特に民主党はトランプ一家の「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」やミームコインなどの暗号資産事業を問題視し、利益相反防止条項の強化を求めている。
共和党とホワイトハウスは特定の大統領を狙った規定は受け入れがたいという立場だ。ギャラクシーリサーチは26日、上院日程遅延や委員会間の文言調整などを理由に年内の法案通過の可能性を60%から50%に引き下げた。
韓国でも同様の論争が広がる可能性がある。韓国銀行(韓銀)がウォン建てステーブルコインに慎重であるのも預金の流出や金融政策の弱体化、資本流出を懸念しているからだ。ただ、韓国国内での議論は「リワード容認」ではなく、まだ「誰が発行するのか」という段階にとどまっている。韓銀や銀行界は、銀行が株式の51%以上を握るコンソーシアムにのみ発行を任せるべきという「51%ルール」を主張する一方、金融委員会はフィンテック企業にも道を開くべきだとして対立している。
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