韓国サッカー代表の孫興慜(ソン・フンミン)。[ニュース1]
2018年ドイツ戦で勝利を決定づけるゴールを決め、2022年ポルトガル戦では決勝点をアシストした。孫興慜はワールドカップのたびに歴史を築いてきた。10年以上にわたり、韓国サッカー界の「アンタッチャブル」な存在だった。
洪明甫(ホン・ミョンボ)監督は、そんな孫興慜を南アフリカ共和国戦の先発メンバーから外した。アジアサッカー史上最高の選手が、ワールドカップ最大の勝負どころでベンチスタートとなった。スタンドで見守っていた父の孫雄政(ソン・ウンジョン)氏は、無念そうな険しい表情で、息子を見つめた。後半から投入された孫興慜は、ゲームチェンジャーにはなれなかった。ボールタッチはわずか29回にとどまった。トッテナムで全盛期を迎えていた頃なら、間違いなくゴールにつながっていたはずの場面も、防がれるなどして、ゴールには結びつかなかった。第1戦チェコ戦ではシュート6本を放ち、第2戦メキシコ戦では後半12分で交代した。早期交代や起用法をめぐって、韓国国内外で激しい議論が巻き起こった。今季MLSで13試合連続無得点に終わっていた孫興慜のゴール感覚は、ワールドカップでも最後まで戻らなかった。ワールドカップだけで見ても7試合連続無得点だ。最後のゴールは2018年ドイツ戦までさかのぼる。朴智星(パク・チソン)、安貞桓(アン・ジョンファン)と並んで保持しているワールドカップ最多3得点を、4得点へと伸ばすことはできなかった。
韓国サッカーは、全盛期の孫興慜を擁しながらも、直近4大会のワールドカップで3度もグループリーグ敗退を喫した。決勝トーナメントに進出したのは2022年の1度だけだった。
南アフリカ共和国戦は、韓国サッカーのワールドカップ史上最悪の拙戦として挙げられている。この試合が孫興慜にとって最後のワールドカップの舞台となるのだとすれば、あまりにも無念な幕切れだ。
集中力を削ぐ悪材料もあった。大会直前、練習場で撮影された動画に、一部取材陣が孫興慜の兵役特例をやゆする音声が入り込んでいた。しかし、大きな大会であるほど気持ちを早く切り替え、前へ進まなければならなかった。それがリーダーの役割だった。孫興慜を十分に生かし切れなかった洪明甫監督の責任も大きい。
1992年生まれの孫興慜は、4年後には38歳になる。今大会を前にしても「ラストダンスになる」との見方が出ていたが、孫興慜は「最後のワールドカップだと断定したことはない。自分でその時期を決める」と一線を画した。孫興慜より5歳年上のリオネル・メッシ(アルゼンチン)や、7歳年上のクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)も今大会で健在ぶりを示している。孫興慜がこれまで通り自己管理を続けるなら、5度目のワールドカップも決して不可能な夢ではない。
スポーツメディア「ESPN FC」は、韓国の北中米ワールドカップ敗退を伝えるとともに、孫興慜の写真を掲載した。そして「So long Son」とつづった。「so long」は「goodbye」とは異なり、再会を暗示する意味を持つ。これまでのように自己管理を続けるなら、5度目のワールドカップ出場も十分にあり得る。
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