中国の習近平国家主席(左)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長。
今回の習主席の訪朝は、朝中同盟そのものを大々的に祝う場でもなかった。同盟強化が最大の目的だったのであれば、「朝中友好協力相互援助条約」締結65周年を迎える来月11日に日程を合わせ、祝賀ムードの中で訪朝を行っていたはずだ。習主席と金委員長は首脳会談を行ったにもかかわらず、共同声明を発表しなかった。先月のプーチン大統領の北京訪問とは対照的だった。
それなら習主席が平壌を訪れた決定的な理由はロシアではなく、「域内情勢」、すなわち台湾問題にあるとみるべきだ。中国は昨年11月、高市早苗首相が衆議院で「台湾侵攻時には集団的自衛権を行使できる」と発言したことに、今なお強い怒りを抱いている。台湾統一を悲願とする習主席にとって、日本の介入は致命的だ。同時に習主席は、北朝鮮のような友好国が勝手な行動で情勢を揺るがさないよう、確実に統制しておく必要があった。
特に中国は、北朝鮮が米軍の域内展開をさらに促したり、日本の防衛費増額の口実を与えたり、最悪の場合には中国を巻き込む武力紛争を引き起こしたりすることを望んでいない。中国は、自らが推進する台湾政策から北朝鮮が逸脱することを防ぐため、首脳会談後に北朝鮮が「一つの中国」原則を支持するとの発表を行うよう環境を整えた。これは北朝鮮がこれまで「静かに」中国の政策を支持しながらも、あえて前面には打ち出してこなかった点だった。
【コラム】習近平中国国家主席の訪朝が残したもの(2)
この記事を読んで…