2019年6月30日、板門店(パンムンジョム)で握手を交わす金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長(左)とドナルド・トランプ米大統領。[写真 朝鮮中央通信ホームページ]
イランに有利との評価が支配的な今回の合意については、米保守陣営からも批判が強まっている。共和党のビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州)は「レーガンが墓の中で身をよじっている。ここ数十年で最悪の外交政策上の失敗だ」と酷評した。ロナルド・レーガン元大統領の「力による平和」路線をに傷をつけたという意味だ。共和党内の対イラン強硬派であるテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)も、「われわれを殺そうとする神政主義の狂人たちに数十億ドルを与えるのは良い考えではない」と述べた。
域内の同盟国や友好国を現実に脅かしているイランの核能力を除去することよりも、戦争を早期終結させることに重点を置いた今回の合意を通じて、トランプ氏特有の取引主義的な同盟観が一層露骨になったとの懸念も大きい。代表例が、同盟国を動員して最低3000億ドル規模のイラン復興基金を造成する(第6項)という内容だ。これは巨額の安全保障負担を同盟国に転嫁する行為だとの批判が出ている。尹焵鉉氏は「事前協議もなく、同盟国の腕をねじ上げて資金を拠出させようとしている」と語った。
さらに第1項では、レバノンを含む全ての戦線で軍事作戦を即時かつ恒久的に終了すると宣言している。「恒久的」という表現は、イランが核開発や軍事行動を再開した場合でも、軍事的オプションを完全に放棄するとの意味に解釈される余地が大きい。これに対しイスラエルは直ちに「われわれはMOU締結当事者ではなく、この合意に拘束されない。レバノンから撤兵する意思も、軍事作戦を停止する意思もない」と反発した。
非核化措置なしに経済的補償と体制保証を獲得できるという前例を残した今回のトランプ合意は、北朝鮮の非核化にも悪影響を及ぼす可能性があるとの指摘が出ている。イランより高度な核能力を保有する北朝鮮が、これより不利な条件で非核化に応じる可能性は高くないためだ。
実際、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長は18日の談話で、「核を伴った軍事的脅威の前で腕をこまぬいて座っていること以上に愚行はないであろう」とし、「核保有は必ず固守すべきわれわれの核心利益であり、「非核化」は絶対に越えられない不退の線である」と強調した。北朝鮮非核化目標を確認した主要7カ国(G7)首脳会議の成果文書に対する反応だが、この内容はイランにも当てはまるという点で、今回のMOU締結とも無関係ではないとの解釈が出ている。
金載千氏は「北朝鮮は『核を手にしたまま持ちこたえれば、米国もどうすることもできない』との確信を強めたはずだ」とし、「ロシアと中国の後ろ盾の下で、すでに北朝鮮の値打ちは大きく上がった。今後トランプ氏が対話を提案した場合、北朝鮮はますます増長し、核保有国としての承認と制裁全面解除だけを要求するだろう」との見方を示した。
トランプ流「先に補償、後で核廃棄」…金正恩氏を喜ばせるイランMOU(1)
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