ドナルド・トランプ米大統領。AFP=聯合ニュース
米政府高官によると、トランプ大統領はこの日、イランとの終戦了解覚書(MOU)に署名し、MOUは即時発効した。イラン側も、マスード・ペゼシュキアン大統領がMOUに署名したことを確認した。14項目から成るMOUは、軍事作戦の終了、ホルムズ海峡の開放、イランの核兵器放棄および濃縮ウラン処理、対イラン制裁解除などを包括的に扱っている。
最も論争を呼んでいるのは、ホルムズ海峡での商船航行を再開し、60日間はイランが通行料を徴収しないと定めた第5項だ。裏を返せば、60日後にはイランが通行料を課したり海峡を統制したりしても、米国はそれを阻止しないと解釈される余地がある。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)も「60日後には、イランが戦争前には課していなかった通行料を徴収できることを意味する」と分析した。国際法上、航行の自由が保障されていた従来よりも、むしろ状況が後退した格好だ。また、トランプ大統領が先月27日に「(空爆で)吹き飛ばす」と警告していたイラン・オマーン主導の海峡管理体制も、第5条で事実上認められた。
米政府高官は「今後の本交渉で恒久的な無償通航を実現する」と説明したが、海峡の統制権確保を最優先するイランが、すでにMOUに明文化した内容から後退する可能性は低いとの見方が出ている。イランが署名直後から30日以内に機雷除去や各種軍事措置を自ら完了すると明記したことも、英国やフランスなど多国籍連合軍の支援を排除したまま統制権を掌握しようとする動きと無関係ではない。
実際、イラン側交渉団長のモハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長は国営テレビのインタビューで、「海峡に対する主権的権利を有しており、当然ながらサービス料金を受け取る」と釘を刺した。
核放棄と引き換えに制裁を全面解除するとした約束(第7項)についても、イランの真摯な非核化措置を担保する安全装置がないとの指摘がある。2015年にオバマ政権がイランと締結した包括的共同行動計画(JCPOA)に盛り込まれていた「スナップバック」条項も、今回のMOUには含まれていない。スナップバックは、合意違反時に制裁を即時復活させる仕組みであり、イランの非核化措置履行を牽引(けんいん)する核心的な制度だった。しかし今回のMOUでは、そのような安全装置もないまま、国連安全保障理事会制裁と米国の一次・二次独自制裁まで全て解除できるようにした。
これとは別に、米議会が決定すべき制裁解除を政府間MOUに明記したこと自体が超法規的行為であり、実現可能性に疑問が提起されている。対イラン制裁解除はイラン核合意審査法(INARA)に明示された米議会の固有権限であるためだ。尹焵鉉(ユン・ガンヒョン)元駐イラン大使は「政府の権限だけでは処理できない部分が多く、今後の議会調整過程で問題となる可能性がある」と指摘した。
これに対し、イラン非核化条項(第8項)は、「核兵器を取得・開発しない」という既存の核拡散防止条約(NPT)の原則を再確認する水準にとどまった。高濃縮ウラン(HEU)の処理についても、国際原子力機関(IAEA)の監督下で現地希釈を原則とするという最低限のガイドラインを示しただけだ。具体的な非核化問題は60日間の後続協議(第9項)にすべて先送りされた格好だ。最終合意に至るまで、イランの核プログラムは現状を維持するとの文言も盛り込まれた。
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