米国の国旗
米インターネットメディアのアクシオス(Axios)は16日(現地時間)、最近、全米各地の選挙で候補者の実際の姿や発言を歪曲(わいきょく)したAIベースの政治広告が相次いで登場していると報じた。
最近最も大きな論争を呼んだ事例は、ドナルド・トランプ大統領の支持団体が制作したテキサス州上院議員選挙の広告だ。
この広告には、民主党候補のジェームズ・タラリコ氏が女性用ドレスを着てトランスジェンダー関連の歌を歌う姿が登場する。しかし動画内の場面は実際に撮影されたものではなく、AI技術で生成された仮想画像だった。
広告制作側は保守系有権者の反感を刺激するための政治的メッセージを盛り込んだが、対立候補を歪曲した姿で表現したとの批判が提起された。
共和党上院選挙委員会(NRSC)も、タラリコ氏が過去の自身のSNS投稿を直接読み上げる場面をAIで制作した広告を公開したことがある。
専門家は、AI政治広告の最大の問題として透明性の欠如を挙げている。
現在、米国の連邦レベルの規定には、AIで制作された政治広告であることを表示するよう義務化した条項はない。一部の候補者や政治団体は自主的にAI利用の事実を公表しているが、大半の広告は有権者が真偽を容易に見分けられない状況だ。
AI選挙広告は特定の地域や政党に限らず、全米に拡散する傾向にある。
ケンタッキー州の共和党予備選挙では、トーマス・マッシー連邦下院議員が民主党進歩派政治家のイルハン・オマル氏、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員と手を握っている場面がAIで捏造(ねつぞう)され、広告に利用された。
ジョージア州では、共和党知事候補のブラッド・ラフェンスパーガー氏が、競争相手候補の銃乱射場面をAIで生成し、選挙広告に使用した。
民主党陣営も例外ではない。
テキサス州のジャスミン・クロケット候補は選挙広告内の群衆規模をAIで水増しし、ドナルド・トランプ大統領を赤ん坊の姿で描写したAI映像もオンラインで公開した。
ニューヨーク市長選に出馬したアンドリュー・クオモ候補も、自身が地下鉄運転士や証券ブローカーなどさまざまな職業をこなす姿をAIで制作した広告を披露した。
専門家は、生成AI技術の発展により、今後は実際の映像と偽映像を区別することがさらに困難になると懸念している。
これに対して民主党は、今年11月の中間選挙後に議会多数党の地位を確保した場合、AI政治広告に対する表示義務を強化する立法を推進する方針だ。
アクシオスは「AI政治広告が選挙戦略の新たなツールとして定着しつつある」とし、「有権者が事実と虚構を見分けることが難しくなるほど、民主主義と選挙の信頼性に対する懸念も高まっている」と指摘した。
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