◇オバマ氏を批判して始めたのに…「なぜ戦争をしたのか」疑問だけ残された
トランプ大統領が「史上最悪の協定」と批判し、第1次政権時代の2018年に一方的に離脱した2015年のバラク・オバマ政府によるイラン核合意(JCPOA=包括的共同行動計画)は、2013年11月の暫定合意から最終妥結(2015年9月)まで約20カ月を要した。JCPOAには、イランの低濃縮ウラン備蓄量を98%削減し、遠心分離機を3分の2削減するなど、具体的な非核化措置が盛り込まれていた。
今後60日間の交渉期間内に、これを上回る強力な合意を導き出さなければならないが、交渉時間ははるかに短い。さらに、ホルムズ海峡封鎖カードの有効性を実証したイランの交渉力は、むしろ強まった状態にある点もトランプ政府にとっては重荷になっている。オバマ元大統領はこの日、ABCとのインタビューで「今後結ばれるいかなる合意も、われわれが行った合意と比べて大幅な改善を成し遂げられるのか疑問」と語った。
海峡通航料を巡って米国とイランの主張が食い違っていることも、今後の解釈の相違を予告する兆候といえる。トランプ大統領は「通航料なしの開放」を主張しているが、イラン側は60日間の交渉期間中は通航料を猶予し、その後は徴収する立場だ。
さらに今回のMOUには、イスラエルが強く問題視してきたイランのミサイルプログラムや、中東におけるイラン代理勢力の問題は盛り込まれていないことが分かった。本交渉がさまざまな火種を抱えた険しい道のりになると予想される理由だ。
ただし、トランプ大統領の言う通り、イランが保有する高濃縮ウランの廃棄や長期的なウラン濃縮停止を実現できれば、米国の立場では目に見える成果とすることができる。また、イラン海軍力や対空防御網など通常戦力を相当程度弱体化させた点も、中東の軍事安保の観点からは前向きに評価されている。
しかし、この日の合意宣言に対しては、野党・民主党だけでなく与党・共和党内からも懸念の声が上がった。対イラン強硬派として知られるリンゼー・グラム共和党上院議員は「合意に対するイラン側の認識が、米交渉団の説明と異なるように見え、懸念している」と述べた。民主党からは「事実上の降伏文書だ」(下院軍事委員会所属のセス・モールトン議員)など厳しい批判が相次いだ。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のアジア担当上級補佐官を務めた経歴を持つ、オーストラリア・シドニー大学米国研究センター所長のマイケル・グリーン氏は、「一時的で脆弱な停戦だ」とし、「イランが交渉期間中に追加資金を利用して核・ミサイル能力をさらに強化する可能性に警戒しなければならない」と指摘した。
ホルムズにも核にも変化なし…「なぜ戦争をしたのか」疑問だけが残った終戦(1)
トランプ大統領が「史上最悪の協定」と批判し、第1次政権時代の2018年に一方的に離脱した2015年のバラク・オバマ政府によるイラン核合意(JCPOA=包括的共同行動計画)は、2013年11月の暫定合意から最終妥結(2015年9月)まで約20カ月を要した。JCPOAには、イランの低濃縮ウラン備蓄量を98%削減し、遠心分離機を3分の2削減するなど、具体的な非核化措置が盛り込まれていた。
今後60日間の交渉期間内に、これを上回る強力な合意を導き出さなければならないが、交渉時間ははるかに短い。さらに、ホルムズ海峡封鎖カードの有効性を実証したイランの交渉力は、むしろ強まった状態にある点もトランプ政府にとっては重荷になっている。オバマ元大統領はこの日、ABCとのインタビューで「今後結ばれるいかなる合意も、われわれが行った合意と比べて大幅な改善を成し遂げられるのか疑問」と語った。
海峡通航料を巡って米国とイランの主張が食い違っていることも、今後の解釈の相違を予告する兆候といえる。トランプ大統領は「通航料なしの開放」を主張しているが、イラン側は60日間の交渉期間中は通航料を猶予し、その後は徴収する立場だ。
さらに今回のMOUには、イスラエルが強く問題視してきたイランのミサイルプログラムや、中東におけるイラン代理勢力の問題は盛り込まれていないことが分かった。本交渉がさまざまな火種を抱えた険しい道のりになると予想される理由だ。
ただし、トランプ大統領の言う通り、イランが保有する高濃縮ウランの廃棄や長期的なウラン濃縮停止を実現できれば、米国の立場では目に見える成果とすることができる。また、イラン海軍力や対空防御網など通常戦力を相当程度弱体化させた点も、中東の軍事安保の観点からは前向きに評価されている。
しかし、この日の合意宣言に対しては、野党・民主党だけでなく与党・共和党内からも懸念の声が上がった。対イラン強硬派として知られるリンゼー・グラム共和党上院議員は「合意に対するイラン側の認識が、米交渉団の説明と異なるように見え、懸念している」と述べた。民主党からは「事実上の降伏文書だ」(下院軍事委員会所属のセス・モールトン議員)など厳しい批判が相次いだ。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のアジア担当上級補佐官を務めた経歴を持つ、オーストラリア・シドニー大学米国研究センター所長のマイケル・グリーン氏は、「一時的で脆弱な停戦だ」とし、「イランが交渉期間中に追加資金を利用して核・ミサイル能力をさらに強化する可能性に警戒しなければならない」と指摘した。
ホルムズにも核にも変化なし…「なぜ戦争をしたのか」疑問だけが残った終戦(1)
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