国際エネルギー機関(IEA)はホルムズ海峡封鎖を現代史最大のエネルギー危機と規定する。それでも世界の株式市場は堅調で先進国の消費もなかなか鈍化しない。世界経済はどうして持ちこたえているのだろうか。
現在まで実質的なエネルギー不足に陥った国は多くない。各国が戦略備蓄を放出して供給不足を埋め合わせた結果、エネルギー価格は上昇したが市場の需給バランスはまだ大きく揺らいでいない。長期的には高いエネルギーに耐えられない新興国で供給不足が現れる危険がある。これに対し先進国はさらに高い価格を払わなくてはならないが必要な量を確保する財政余力は備えている。
一部の国は原油価格補助金や選別的税金減免を通じて消費者の負担を減らしている。短期的には消費者負担が政府に移転されるが、結局は納税者がかぶることになる。消費者が原油高を直接体感できなければ消費スタイルを変える誘引は減る。これは短期的には経済に役立つかもしれないが、エネルギー効率性改善が遅れる場合、長期的にはむしろ否定的結果を招くことになる。
結局原油高の影響は消費者が高いエネルギーをどれだけ肌で感じるかにかかっている。負担を体感すれば人々は自然に消費習慣を変えることになる。消費者は柔軟勤務や公共交通利用拡大などを通じてエネルギー消費を減らす。エネルギー価格が上がったからと消費者負担が必ずしも同じ割合で増えるのではない。消費者がエネルギーをより効率的に使えば実際の支出増加幅は限定的にできる。
しかし世界経済が予想より良好な成長を維持しているのには消費者のまた別の対応もある。原油価格が上がり消費者は石油関連商品購入にさらに多くの金を使わなければならなくなった。消費者はその負担を別の消費を減らす代わりに貯蓄を減らして乗り越えた。米国の消費者が昨年関税引き上げにより生活費負担が増えた時も同様の現象が現れた。貯蓄を減らせば成長を維持することはできるが、その成長の基盤は弱い。さらに貯蓄を減らすのにも限界がある。消費者がこれ以上貯蓄を減らすことができなくなれば高くなった原油価格負担は結局別の消費を減らす方式で現れる可能性が大きい。
いま世界経済は過去の石油危機当時より今回の衝撃にはるかにうまく対応している。世界経済はいま備蓄油と家計預金を減らしながら衝撃を吸収している。前者は「貯蔵された石油」であり後者は「貯蔵されたお金」だ。しかし両方とも無限ではない。エネルギー危機はまだ終わっていない。世界はいま備蓄油と貯蓄で時間を買っているだけだ。
ポール・ドナーバン/UBSチーフエコノミスト(グローバル・ウェルス・マネジメント部門)
現在まで実質的なエネルギー不足に陥った国は多くない。各国が戦略備蓄を放出して供給不足を埋め合わせた結果、エネルギー価格は上昇したが市場の需給バランスはまだ大きく揺らいでいない。長期的には高いエネルギーに耐えられない新興国で供給不足が現れる危険がある。これに対し先進国はさらに高い価格を払わなくてはならないが必要な量を確保する財政余力は備えている。
一部の国は原油価格補助金や選別的税金減免を通じて消費者の負担を減らしている。短期的には消費者負担が政府に移転されるが、結局は納税者がかぶることになる。消費者が原油高を直接体感できなければ消費スタイルを変える誘引は減る。これは短期的には経済に役立つかもしれないが、エネルギー効率性改善が遅れる場合、長期的にはむしろ否定的結果を招くことになる。
結局原油高の影響は消費者が高いエネルギーをどれだけ肌で感じるかにかかっている。負担を体感すれば人々は自然に消費習慣を変えることになる。消費者は柔軟勤務や公共交通利用拡大などを通じてエネルギー消費を減らす。エネルギー価格が上がったからと消費者負担が必ずしも同じ割合で増えるのではない。消費者がエネルギーをより効率的に使えば実際の支出増加幅は限定的にできる。
しかし世界経済が予想より良好な成長を維持しているのには消費者のまた別の対応もある。原油価格が上がり消費者は石油関連商品購入にさらに多くの金を使わなければならなくなった。消費者はその負担を別の消費を減らす代わりに貯蓄を減らして乗り越えた。米国の消費者が昨年関税引き上げにより生活費負担が増えた時も同様の現象が現れた。貯蓄を減らせば成長を維持することはできるが、その成長の基盤は弱い。さらに貯蓄を減らすのにも限界がある。消費者がこれ以上貯蓄を減らすことができなくなれば高くなった原油価格負担は結局別の消費を減らす方式で現れる可能性が大きい。
いま世界経済は過去の石油危機当時より今回の衝撃にはるかにうまく対応している。世界経済はいま備蓄油と家計預金を減らしながら衝撃を吸収している。前者は「貯蔵された石油」であり後者は「貯蔵されたお金」だ。しかし両方とも無限ではない。エネルギー危機はまだ終わっていない。世界はいま備蓄油と貯蓄で時間を買っているだけだ。
ポール・ドナーバン/UBSチーフエコノミスト(グローバル・ウェルス・マネジメント部門)
この記事を読んで…