半導体業界の過去最大級の業績と高い成果給への期待感からSKハイニックス入社志願者が増えている中、16日、ソウル光化門(クァンファムン)の教保(キョボ)文庫「就職ベストセラー」コーナーにSKグループ入社関連の教材「SKCT」が陳列されている。[ニュース1]
人工知能(AI)ブームがすべてを変えた。半導体好況の中で利益は増え、分け合うパイが大きくなったのだ。ライバルのSKハイニックスの「太っ腹成果給」は焦りを強めた。「自分たちの取り分をしっかり確保する」として労働組合はストライキも辞さない構えだ。成長動力と超格差維持のための研究開発(R&D)および設備投資など資源配分の優先順位をめぐる悩みは見えない。株主配当(11兆1000億ウォン、約1兆2000億円)を圧倒する成果給(最小40兆ウォン)を要求し、会社の主は株主なのか労働者なのかという質問に耳をふさいだ。「水が入ってきた時に櫂を漕ごう」と言わんばかりに成果給に向かって突進中だ。
SKハイニックスが火を付け、サムスン電子へと飛び火し、現代自動車など他の企業へも広がりを見せている成果給論争はきわめて「韓国的」だ。まず、羨望と嫉妬が妙に混ざり合って、特定企業の成果給が国民全体の関心事となった。従業員でも株主でもない人たちが他人の会社の成果給についてあれこれと口を出す。高額な成果給が不動産市場を揺るがすという予測が飛び交い、多くの人が他社の未来を心配するという不思議な現象が起きている。
このため労働組合は会社側との駆け引きだけでなく、世間の冷ややかな視線とも戦わなければいけない。タイミングよく、または運よく半導体の好況サイクルに乗った業績を、労働者個人の成果として認められるのかという点だ。これは、住宅価格の急騰に伴うローン増加で過去最大の利益を出した銀行の「成果給パーティー」への批判と重なる。「横材税(超過利得税)」が云々される点まで似ている。成果給に多額の税金を課したり、地域通貨で支給しようという無茶な主張までが噴出している。一般市民が成果給に反対する1人デモを行うほどだ。
人材流出を防ぐためにライバル企業並みの成果給を求める労働組合は「社会的責任」を持ち出す。サムスン電子の労働組合は、自分たちが多くの報酬を受けてこそ理工系が生き残り、医学部への集中が解消されると主張している。SKハイニックスの破格の成果給によって「ハイニックス試験」という言葉が登場し、半導体契約学科の人気も上昇中だ。とはいえ「理工系の活性化」を成果給の根拠にするには論理が乏しい。
最も韓国的なのは成果給に浸透した「平等主義」だ。成果に対する報酬であるにもかかわらず「全社員一律支給」のような「韓国人にとって心の習慣ともいえる平等主義(宋虎根・翰林大特任教授)」が成果給の基本になってしまったことで、あちこちで不協和音と亀裂が生じている。画一的かつ一律的な報酬構造が抱える「ただ乗り」問題は成果給の本来の趣旨をすでに薄れさせた。
さらに職務や成果で差別化された報酬よりも「N分の1」式の分配になったことで、核心技術の開発といった専門性に対する報酬は希薄になった。このため修士・博士級の研究職と現場の生産職との間の溝も深まっている。能力よりも「どのライン(産業)」に身を置いているかが「成果給ジャックポット」の決定要因となり、「半導体業界の異例の成果給がむしろ理工系の生態系を崩すアクセルになりかねない」という鋭い指摘までが出ている。
各産業・企業の状況は眼中になく、成果給要求は流行のように広まっている。半導体業界の異例の成果給をテコにして主要大企業の労働組合は会社を圧迫している。現代自動車の労働組合は今年の賃金交渉で昨年の純利益の30%を成果給の財源として要求することを決めた。営業利益の10%を成果給の財源とするSKハイニックスや、営業利益の15%を成果給として要求しているサムスン電子の労働組合をベンチマークしたものだ。「成果給の足並み揃え」に突入した格好だ。
企業の成長の果実を従業員で分かち合おうという要求は無条件に非難されることではない。会社側が利益配分を軽視してきた側面もある。それでも特定企業の成果給に多くの人々が口を出す、あまりにも「韓国的」なこの成果給論争は、単に「いとこが土地を買えば腹が痛む」という心理や、あらゆることに干渉したがる韓国人の「おせっかい」な性向のためだけではないだろう。その根底には、努力や寄与に対する冷静な評価に基づく差別化された支給ではなく、あたかも空から降ってきた宝くじのように変質してしまった「成果給パーティー」がもたらす不快感がある。成果給が本当に「成果」に見合うものであれば起きることのない論争だ。
ハ・ヒョンオク/論説委員
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