キム・ジユン記者
原油価格の上昇は、実質所得を削り取る「見えない税金」だ。消費心理を萎縮させ購買力を減少させ、家計が大きな支出を後回しにする原因となる。原油価格が大幅に上昇した場合、6月までに小売販売は約2.8%減少し、今年の民間消費増加率も従来の展望より0.4ポイント低下する可能性がある。
最も直接的な打撃を受けるのは、自動車や家電などの高額耐久消費財だ。これらの品目は、すでに不動産沈滞、雇用不安、景気の不確実性により、消費項目の中で最も振るわない。原油価格の上昇は、すでに躊躇(ちゅうちょ)している消費者をさらに萎縮させる。一時的に電気自動車(EV)へと需要が移る可能性はあるが、長続きは難しい。心理が冷え込み実質所得が減少すれば、電気自動車の需要も結局は落ち込む。
一方、原油価格ショックに敏感ではない食品・医薬品・外食・レジャーといった日常の消費は、相対的に堅調だとみられる。政策も緩衝役を果たす。中国政府は燃料価格を直接管理し、エネルギー調達と流通の過程でマージンを抑制することで、国際原油価格の上昇が家計にそのまま伝わらないよう速度を調節する。消費者心理も同様だ。財布が薄くなったと感じる時、人々は自動車の購入は見合わせても、友人との夕食や週末のレジャーはそう簡単には諦めない。
問題は、その衝撃がよりによって最も脆弱な財貨部門に食い込むという点だ。財貨部門は需要が弱く、供給が溢れている代表的な部門である。
これまで中国は、不動産の好況と建設ブームのおかげで、工場から溢れ出る品々をある程度消化することができた。しかし、不動産市場が冷え込んだことで、その出口も塞がった。現在は政府の「以旧換新」政策、すなわち古い製品を新しいものに買い替える際に補助金を支給する制度が、その空白を一部埋めている。在庫を減らし製造業の需要を下支えしながら、エネルギー効率まで高めようという試みだ。しかし、この政策もすでに弱まった消費の上でかろうじて耐えている状態だ。原油価格ショックは、その負担をより一層加重させる。
これに加え、今年満期を迎える大規模な家計預金も変数だ。理論的には消費余力につながる可能性があるが、物価上昇と金利低下の中で、資金は消費よりも資産管理商品・債券・金へと移動する可能性が高い。
中国は他のエネルギー輸入国と比較すれば、原油価格ショックを一次的に緩衝する余力がより大きい。しかし、衝撃を避けることはできない。家計は財貨の消費から減らしサービスは維持するが、その負担は結局、すでに供給過剰となっている製造業部門へと跳ね返ってくる。
ルイーズ・ルー/「Oxford Economics」エコノミスト
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