9日午前、ソウルDOUZONE乙支路タワーで中央日報の中東戦争関連インタビューに応じた尹焵鉉(ユン・ガンヒョン)元駐イラン大使 チョン・ミンギュ記者
尹焵鉉(ユン・ガンヒョン)元駐イラン大使は9日、中央日報のインタビューで、米国とイランの2週間の停戦合意について「双方ともに出口が必要であり、交渉の動力が残っているのは明らか」とし、このように述べた。短期的にはホルムズ海峡航行問題での信頼構築、長期的には非核化のための信頼構築がカギという説明もした。
尹氏は外交部経済外交調整官、駐イラン大使などを務め、米国の対イラン制裁、イラン核合意破棄と復元交渉などの余波に関連する業務を扱った。両国関係の本質を現場で経験した尹氏は、11日にパキスタンで開かれる両国間の対面交渉を今後の行方を決める事件と規定した。「前イラン最高指導者のハメネイ師が生前に出した対米対面交渉禁止指針にもかかわらず今回の対面交渉が行われること自体が前向きな信号」と話しながらだ。
尹氏は「2週間の交渉で互いに誠意を確認した後、停戦期間を延長しながら交渉を継続すれば、以前の核合意より包括的な『ビッグディール』も可能だ」と強調した。以下は一問一答。
--米国とイランが2週間の停戦に合意した。誰が勝者なのか。
現時点ではイランだと考える。時間はイラン側に流れている。斬首作戦を通じて強硬派を除去し、核心施設を手を加え、政権交代を実現させることで、エネルギー市場の混乱は防ごうという米国の初期短期戦シナリオはすでに崩れた。
--米国の判断ミスだったのか。
米国の情報不足とは考えない。しかし大きな絵を読むという側面でイランの抵抗性、回復性を誤って判断したようだ。2020年の米国のドローンを活用したソレイマニ・イスラム革命防衛隊コッズ部隊司令官除去作戦や米国がイラン核施設を空襲した昨年6月の「12日戦争」当時、イランは報復しても米国側の死傷者を出さないという、事実上約束されたものだった。イラン側が紛争の拡大を望まなかったからだ。今回は戦争の様態が異なる。12日戦争が米国-イスラエル-イランの3カ国間の紛争だったなら、今回の戦争ではイランがガルフ国家の米軍関連施設を攻撃することで戦線を拡大した。イランの立場でこれらはイスラエルと比べて容易なターゲットだ。イランはむしろ戦線を拡大し、米国の資産を分散させる非対称戦略を積極的に活用しながら優位を占めることになった。
--2週間の交渉はどのように進行するのか。
米国、イランともに出口を必要としていて、交渉の動力が残っているのは事実だ。2週間は終戦のための時間というよりも終戦に向かう第一歩、核交渉まで含む包括的交渉をまともに開始できるかを確認する試金石と見るべきだ。今後の2週間、双方が本当に交渉を妥結する意志があるのか、誠意を確認するゲームが行われるだろう。それが確認されれば停戦期間を延長する方式になると見ている。しかし変数があまりにも多い。生まれたばかりの赤ちゃんを慎重にケアしていくような交渉だ。
--リスクの変数は。
米国がイスラエルを統制できるかが核心だ。両国家の戦争目標が異なる。イスラエルが米国と違ってイランのエネルギー施設を打撃するのは、イランの民心がエネルギー価格やインフレーションなどにどれほど敏感であるかを把握するためだ。これを刺激して現在の反イスラエル的イラン政権を転覆させ、脅威を永久的に除去しようというのがイスラエルの目標だ。米国は違う。国内的に開戦60日以降は議会の承認を受けなければいけない問題もあり、原油価格の安定も急がれる。短期戦のシナリオが崩れる中で原油価格が上がれば、これは中間選挙を控えて与党・共和党の負担となる。対ロシアおよび交戦国の対イラン原油制裁を一時猶予したほどだ。
--前向きな見通しができる要因はあるのか。
イラン国内には2015年にオバマ政権と核交渉を妥結した主役が健在だ。ハサン・ロウハニ前大統領、当時の外相であり現政権でも副大統領を務めたモハンマド・ジャヴァード・ザリフ氏らだ。その下で実務交渉を主導したアッバス・アラグチが現在外相だ。基本的に交渉で問題を解決する意志がある人たちだ。モハンマド・バーゲル・ガリバフ氏の名前が挙がっているが、革命防衛隊出身で強硬な発言をする。ただ、彼はテヘラン市長を務めるなど行政の経験が多い。現実政治を知り、民生苦を解決しようとする側面で交渉論者と認識が一致する側面がある。
--イランの強硬派の革命防衛隊も変数になりそうだが。
正しい指摘だ。イランの軍統帥権は大統領でなく最高指導者にある。イランは意思決定の過程で集団討論が行われる構造だが、当然、強硬派が勢力を得るしかない。ただ、今回の斬首作戦で強硬派軍事指導者序列30位圏の大半が死亡した。システムは健在だが、強硬派の声が以前ほどではない。
--革命防衛隊は最高指導者の命令だけを受けるが、モジタバ師の状態が不透明だ。
それによる権限委譲の問題もある。以前はハメネイ師が強硬派に強く対応して持ちこたえる権限を与えたが、現在は誰がそのようにできるだろうか。このような構造は改革派、交渉派が強硬派の声を相殺する状況にはなる。特に対面交渉が行われること自体を重視する必要がある。
--どのような理由からか。
トランプ大統領が2018年にイラン核交渉を破棄した後、ハメネイ師が背信感から出した指針がある。米国とは絶対に対面交渉をするなというものだ。このため、バイデン政権でまた交渉が始まった当時も、米国とイランの代表団が同じホテルに宿泊しながら交渉をしても、対面することはなかった。欧州国家やオマーンなど第3国が双方間を行き来しながら立場を伝えた。これでは交渉にならない。しかし11日にパキスタンで開かれる対面交渉に応じるのはイランも真摯に臨むということだ。モジタバ師と革命防衛隊の戦略的立場に変化の余地があるという信号でもある。
--11日の対面交渉が重要な観戦ポイントになりそうだ。
その通りだ。交渉の代表が誰であるかも極めて重要だ。米国でナンバー2、未来の権力と見なされ、戦争に反対したというJ・D・バンス副大統領が交渉代表として出てくれば誠意を見せることになる。イラン側も格を合わせようとするはずだが、ガリバフ議長が出てくれば悪くない信号だ。ザリフ元外相も同じだ。
--短期的にはホルムズ海峡問題に関連した信頼の回復がカギになるようだ。
イランが最小限の物流の流れを保障しながら原油価格の安定につながるシグナルを送れば、誠意を示すことができる。ただ、イランがホルムズ海峡を開くと言いながらもイラン軍と協議しなければならないと条件を付けるのは、依然として統制権を行使するということだ。米国が望むのは自由な航行であり、まだ隔たりが大きい。
--イランが実際にホルムズ海峡を完全封鎖し、通行料を徴収する力があると考えるか。
事実上の封鎖をするにはすべての船を攻撃する必要はない。海軍力がまひしたとしても、タンカー2、3隻は攻撃できる。その場合、封鎖と同じ効果を得ることができる。このようにホルムズ海峡で事故が発生すれば、船舶は保険にも入ることができない。それを無視して入れば会社は破産するだろう。物流はふさがるしかない。トランプ大統領が強調する完全な航行の自由とは、保険サービスの円滑な提供、船舶の正常通過をすべて包括する概念だ。
--短期的にホルムズ海峡での信頼回復措置が重要なら、長期的にはやはりイランの核廃棄と制裁解除パッケージの構成がカギになるが。
2月の交渉でも双方が核と関連して相当な意見の接近があったと聞いた。すでに2015年に妥結した合意がある。膨大な分量で、すでに難しい細部事項は合意していて、空いている部分だけを埋めればよい。双方の政治的意志さえあれば妥結は可能だ。2015年の核合意という教本があるが、今回はむしろビッグディールを目標にする可能性があり、それが双方に利益と見る。イランは2018年の核合意破棄後、米国の資本をさらに積極的に誘致できなかったことを失策と判断する内部報告書を作成したことがある。今回ビッグディールが妥結して米国資本の直接投資があれば、それがイランが望む実質的な不可侵保障となる可能性がある。
--トランプ大統領はイラン核合意でミサイル制限ができない点、期限になれば制裁が解除されるサンセット条項を問題視した。
交渉の本質は核制限という点を忘れてはいけない。サンセット条項についても期限になれば終わりというのではなく、これを履行する期間に築いた信頼を基盤にまた交渉しようという趣旨で見ればよいが、トランプ大統領はこれを破棄の名分にした。核心的な部分で意見が一致すれば、他の争点を扱うのは技術的に十分に可能だ。
<インタビュー>「ハメネイ師が禁止した対米対面交渉、イランが応じたのが前向きな信号」(2)
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