26日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで開かれた閣僚会議でドナルド・トランプ米大統領が発言している。AP=聯合ニュース
今回の戦争の根底には、トランプ氏特有の「取引の技術(Art of the Deal)」が占めている。彼の戦略は明確だ。相手を極限まで追い詰めて恐怖を誘発した後、自身が望む条件を貫徹する方式だ。「大きく考える(Think Big)」で相手を圧倒し、「選択の幅を広げる(Maximize Options)」で予測不能性を最大化させ、「レバレッジの活用(Use Your Leverage)」で相手の急所を突くのがその核心だ。開戦とともにイラン首脳部を集団除去し、局面を掌握したかのように見えた。
しかし、戦争はトランプ氏の計算通りには進んでいない。ホルムズ海峡と11月の中間選挙という罠にかかり、トランプ氏がむしろ窮地に追い込まれた雰囲気だ。繰り返される虚言と「TACO」(土壇場での後退)、二転三転する言動は、彼の意思決定能力に対して疑念さえ抱かせている。
ビジネスの世界で通じていた取引の技術が外交の舞台で限界を露呈している理由は自明だ。第一に、ビジネスは「契約」で終わるが、外交は国家間の利害関係と名分、政治が入り混じった複合的な過程だ。トランプ式取引術の本質は、目の前の利益を手にするゼロサム(Zero-sum)だ。しかし、外交的交渉は互いの実存を認め合い、破局を避けるプラスサムを目指す。戦争でさえ例外ではない。クラウゼヴィッツは「戦争は他の手段をもってする政治の継続である」と説いた。トランプ氏はなりふり構わずイラン首脳部を除去したことで、かえって交渉を困難にしてしまった。こうした決定の背後には、戦争によって政治的生命を延長しようとするイスラエルのネタニヤフ首相がいる。
第二に、取引の当事者が異なる。ビジネスは2人のCEOが署名すれば終わる。しかし政治は国民、世論、同盟国、国際機関という数多くの「部外者」が取引の成否を握っている。トランプ氏の一方主義に疲弊した同盟国が「この戦争は我々の戦争ではない」と冷ややかな立場を見せているのは、結局のところ国内政治のためだ。米国の同盟国の大部分が世論に敏感な民主主義国家であるという点を、トランプ氏はあまりにも軽く見ていた。
第三に、論理で計算できない「感情」という変数だ。トランプ氏はイラン指導部さえ除去すれば容易に勝利できると考えた。誤算だった。中世ヨーロッパの戦争において「王は王を殺さない」という不文律があったのは、交渉の相手を残しておくためだった。不必要な報復心と収拾のつかない戦火の拡大によって、戦争の目的が揺らぐ状況を望まなかったからだ。トランプ式のビジネス感覚では、地域覇権国家ペルシャのプライドなどは計算に入っていなかった。単線的なビジネス文法は戦場では通用しない。
トランプ氏の強力な支持層である米国内の孤立主義(「MAGA」)陣営さえ揺らいでいる。彼らはグローバル化の過程で損害を被ってきたという被害意識からトランプ氏を支持してきた。しかし、自分たちの利益を揺るがすトランプ氏の決定に忍耐を失いつつある。最近、韓国国内の与党支持層をABCに分類して議論を呼んだ柳時敏(ユ・シミン)氏の論法を借りれば、A(価値志向の核心支持層)よりもB(利益中心の支持勢力)とC(両方にまたがる折衷型)の不満が圧倒的に高まっている様相だ。
北核問題を抱える韓国としても他人事ではない。イランで見せつけた「最大限の圧迫と利害の貫徹」というトランプ氏の取引術が、韓半島(朝鮮半島)でいつ、どのように作動するか分からない。トランプ氏にとって韓半島は利益を生むべき「売り物件」かもしれないが、我々にとっては切実な「実存」の領域だ。同盟の価値と国益の間で、冷静かつ精巧な生存の設計図を模索すべき時だ。
イ・ヒョンサン/中央日報コラムニスト
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