1916年7月1日~11月18日、仏ソンム川一帯で英国軍主導の大攻勢があった。ソンムの戦いで双方から死傷者は60万人ずつ発生した。連合軍は5カ月近い戦闘で10キロも前進できなかった。
最近の主な戦闘でロシア軍の一日平均進撃距離はソンムの戦いよりも短かった。ロシア軍は2024年2月~2026年1月のポクロフスク(Pokrovsk)戦闘で計50キロを進撃し、これを一日平均に換算すると70メートルだ。2024年2月~2026年1月のチャシウヤール(Chasiv Yar)戦闘では計10キロを進撃し、一日平均15メートルだった。2024年11月~2026年1月のクピャンスク(Kupiansk)戦闘では計9.5キロを進撃し、一日平均23メートル。第1次世界大戦当時の最も激しかったソンムの戦いの一日平均進撃距離が80メートルだった点を考慮すると、それ以上の消耗戦が展開されている。
戦争が消耗戦となった背景にはさまざまな要因がある。主な要因としてロシアの誤った戦略的判断、ウクライナ国民の強い抵抗意志、米国をはじめ西側の軍事支援、ロシア軍の劣悪な補給・訓練レベル、科学技術の発展による透明な戦闘空間と速くなった作戦テンポなどが相互作用して今日の消耗戦に発展した。しかし実際の戦場で見られる消耗戦様相の直接的かつ決定的な原因は、大規模探知センサーにより戦場が「隠れ場所のない」透明な戦闘空間に変貌し、「探知→決心→打撃」のキルチェーンのテンポが飛躍的に速くなったからだ。
◆透明な戦闘空間
ロシア-ウクライナ戦争で戦闘空間を透明にしているのはドローンだ。戦線地域の上空で大規模に運用されるドローンは戦場のほとんどすべての動きを直ちに捕捉する。ウクライナ軍は大規模ドローンを防御地域前方上空に滞空させながら10~20キロの「殺傷区域(Kill Zone)」を形成することで、ロシア軍の攻撃を撃退している。防御地域前方上空で飽和状態で運用されるウクライナ軍のドローンは、ロシア軍の小さな動きも直ちに捕捉し、標的は火力で打撃して撃滅する。
科学技術の発展によりドローンが進化を繰り返し、戦闘空間はより一層透明になっている。初期のドローンは主に光学装備を搭載して映像で敵の動きを探知した。しかし進化を繰り返しながら熱画像装備・電子戦装備なども搭載可能になり、今では熱画像と電子信号も収集できる。このほか戦場で運用される光学・熱画像・電子・音響などの探知センサーがネットワークに連結され、人工知能(AI)で随時情報融合が可能になり、戦闘空間はますます透明になっている。
「NATO軍も全滅」…第1次世界大戦より悲惨な「ドローン地獄」 他人事でない(2)
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