J・D・バンス米副大統領が8日(現地時間)、娘のミラベルちゃんを抱いてミラノ・コルティナ冬季オリンピック(五輪)のスピードスケート男子5000メートル競技を観戦している。 AP=聯合ニュース
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は8日(現地時間)、「五輪に参加した米代表団が自国の政治状況から逃れられずにいる」とし、「トランプ政府による欧州軽視の動き、そして多くの国の怒りを買った移民取り締まりのためだ」と指摘した。米国という国家に対する反感と、そこを代表して出場した選手たちへの憐憫が入り混じっているという診断だ。
6日、ミラノのサン・シーロで行われた開幕式の光景がそれを象徴している。米代表団が入場する瞬間、電光掲示板にJ・D・バンス米副大統領とウシャ夫人が映し出されると、観客席のあちこちからブーイングが沸き起こった。英メディアのガーディアンは「米国内の五輪中継局であるNBCが、ブーイングの音を削除し、平穏な映像だけを放送した」と報じた。
今回の五輪で政治論争が激化した背景には、スキーのハンター・ヘス選手の発言も一因となっている。ヘス選手は最近の現地インタビューで「米国の国旗をつけているからといって、米国で起きているすべてのことを代表しているわけではない」と述べたが、これに対してトランプ大統領が8日、SNSに「真のルーザー(負け犬)」と投稿してヘス選手を非難したためだ。トランプ氏は「それなら代表チームに目指すべきではなかった」とヘス選手を攻撃した。国家元首が五輪競技中の自国選手を公然と非難するのは極めて異例のことであり、米代表団の士気に影響を与えるのは避けられない。
米国移民・関税執行局(ICE)捜査員が大会期間中に米代表団の安全チームを支援するという事実が知れ渡ると、「ミラノはあなたがたを嫌悪する」というデモが発生し、現地の雰囲気は険悪になった。ミラノ市長のジュゼッペ・サーラ氏はイタリアの放送で「ICEは人を殺す民兵組織と変わらない」とし、「彼らがミラノに来ることを決して歓迎しない」と直言した。
こうした理由から、米フィギュア・ホッケー・スピードスケートの各連盟は、選手団のホスピタリティスペースの名前を「アイスハウス(Ice House)」から「ウィンターハウス(Winter House)」に変更した。当局の略称である「ICE」と発音が同じだからだ。米フィギュア関係者は「私たちが滑る表面(ice)そのものが政治的な単語になるとは思わなかった」とNYTに語った。
選手たちは複雑な心境を隠せずにいる。五輪4度目の出場となるアルペンスキーのミカエラ・シフリン選手は、関連する質問に対しネルソン・マンデラの言葉を引用し、「包摂の価値、多様性と親切、分かち合いの価値、忍耐と勤勉といった価値を代表したい」と述べた。ICE糾弾デモが始まったミネソタ州出身の女子アイスホッケー代表ケリー・パネック選手は、「私が最も誇りを持って代表したいのは、1年で最も寒い日でも自分が信じるもののために戦う数万の人々だ」とした。性的少数者である米フィギュアのアンバー・グレン選手は「人々は『アスリートなんだから自分の事だけをしていろ、政治の話はするな』と言うが、政治は私たち全員に影響を与える」とし、「(トランプ政権の)LGBTQ政策に対しても、黙っているつもりはない」と答えた。
イタリア人のバーバラ・バリッレさんはNYTに対し「私たちは今の米政府を大きな懸念を持って見守っている」としながらも、「選手たちが自国で起きていることのせいでブーイングを受けなければならないとしたら、それは五輪精神に反することだ」と語った。
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