19日、台湾・台北市で単独犯が発煙筒を投げ、通行人を無差別に襲撃して15人が死傷する事件が発生した後、警察が中山駅付近の現場を黄色い犯罪現場テープで封鎖している。[ロイター=聯合ニュース]
飲酒運転で軍から追放された経歴を持つ容疑者の張文(27)の犯行は、放火から発煙筒の投げつけ、無差別刺傷に至るまで3時間にわたって続いた。20日に台湾警察が公表した犯行の詳細によると、張文容疑者は前日の午後3時40分ごろ、中山区の住宅街3カ所で放火を行った。その後、賃貸アパートに戻って着替え、犯行に使用する道具を準備した。ベランダに再び火をつけた後、台北駅まで歩いて向かい、午後5時23分ごろ、M7・M8出口の間の地下通路で発煙筒を投げ、長刀で通行人を襲撃し、1人が死亡、3人が負傷した。
張文容疑者はその後、大同区にある事件の2日前に宿泊していたホテルに戻って着替えをし、武器を補充した。午後6時37分、中山駅に現れた容疑者は発煙筒を爆発させ、市民を襲撃して1人が死亡、1人が負傷した。最後に近くの「誠品書店」に入り、人々を襲撃してさらに1人の死者と5人の負傷者を出した。その後容疑者は午後6時40分ごろ、書店の6階屋上から飛び降り、死亡した。
今回の犯行は事前に綿密に計画されていたことが明らかになった。警察は容疑者の賃貸アパートからナイフ4本、焼けたノートパソコン1台、ガソリン5本を発見し、事件2日前に宿泊したホテルの客室からはガソリン容器23個、タブレット端末2台を発見した。台北地下鉄の地下通路からは、発煙筒17個(不発2個含む)、ガソリン15本、タクティカルベスト、ナイフなどが見つかった。
警察によると、張文容疑者は2014年に台北地下鉄の車内で無差別刺傷事件を起こし、4人を殺害、24人を負傷させた鄭捷(1993~2016)に関するニュースや情報を検索していたことが確認され、その犯行を模倣したものと推定されている。鄭捷は2016年に銃殺刑で処刑された。
張栄興台湾警察庁長官は20日の記者会見で、「容疑者の張文は未婚で、大学卒業後に志願入隊したが、2022年に飲酒運転で除隊となった」と明らかにした。今年、張文容疑者は義務兵役を履行せず兵役妨害処罰法違反の容疑で地方検察庁に指名手配されていた。特に16日には犯行現場となった大同区と中山区をオートバイで行き来して地理を把握しており、18日には事件が発生した書店を訪れ、屋上のクリスマス装飾を撮影する方法を尋ねていたことが分かった。
台湾は11年ぶりに再び発生した単独犯型テロに衝撃を受けている。台湾中央警察大学の許福生教授は、「単なる無差別殺人ではなく、『自己正当化された軍事行動』であり、いわゆる“ローンウルフ(単独犯)”型の暴力に近い」と診断した。許教授は「公開された場所で繰り返し攻撃を行った犯行手口を見ると、自分の存在を誇示しようとする行為だ」とし、「社会に対する強い不満と、自身の境遇に対する不満が結びついた結果として解釈できる」と述べた。
模倣犯への懸念も提起されている。事件直後、張文容疑者の兄弟だと称するネットユーザーがSNS「Threads」に、高雄駅や台中の新光三越百貨店を対象にした「犯行予告」を投稿した。オンライン上では、容疑者の母親が中国出身だという噂が広がったが、台湾の大陸委員会はフェイクニュースだとし、事件を口実に対立を扇動しようとする勢力を強く糾弾すると明らかにした。
一方、中国国務院台湾事務弁公室の報道官は20日、公式フェイスブックを通じて「19日に台北で発生した罪のない人々が犠牲となった事件に深い悲しみと憂慮を表する」と述べ、「犠牲者と遺族に心から哀悼の意を表し、負傷者の早期回復を祈る」とした。
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