先月25日、ソウルのハナ銀行偽変造対応センターで関係者がウォンとドルを整理している。[写真 ニュース1]
韓国銀行によると、9月の通貨供給量(M2)は前年同月比8.5%増えた4430兆5000億ウォン(約468兆2936億円)を記録した。6カ月連続の増加で、増加幅は2022年6月の9.0%以降で最大だ。8月のM2増加率も前年比8.1%に達した。コロナ禍対応に向け政府の大規模財政支出が続いた時期と同じ水準で現金が新たに供給されているという意味だ。M2は現金と要求払い預金、マネーマーケットファンド・収益証券、2年未満の定期預金・積立金など現金に簡単に変えられる広義の通貨を意味する概念だ。
金利引き下げサイクルに差しかかった状況でファンドなど収益証券に資金が集まり、ここに李在明(イ・ジェミョン)政権の拡張財政基調が加わった影響とみられる。教保(キョボ)証券のペク・ユンミン研究員は「民生回復消費クーポンなどで資金が多く供給され、利下げ局面に投資や貸付などでM2がさらに増えた」と説明した。韓国銀行関係者は「最近では収益証券増加の寄与度が大きい。随時入出式預金も証券投資待機資金が多いものとみられる」と説明した。
問題は増加する流動性が海外株式投資につながれば、ドル需要が増えウォン相場の下落をあおりかねない点だ。ウォン相場は1990年代後半以降で最安水準である1ドル=1470ウォン台前後で推移している。金融圏関係者は「韓国政府の不動産規制後、『いっそ米国株をもっと買おう」という動きもみられる」と伝えた。
そうでなくても熱い不動産の過熱をあおる可能性も提起される。韓国開発研究院(KDI)の2020年の調査によると、通貨供給量が1.0%増加すると住宅価格は4四半期にかけて約0.9%上昇した。
異例の政策・市場金利デカップリング(脱同調化)も現れている。基準金利は今年初めの3.0%から最近2.5%に下がったが、同じ期間に10年物国債利回りは0.59%上がった。拡張財政に来年も大規模国債発行を控えており、金利政策で市場金利を調節しにくいという意味だ。政府が「景気浮揚」と「不動産・為替相場安定」の間で苦悶に陥る中で、金利政策まで絡まる局面だ。ウリィ銀行のエコノミスト、パク・ヒョンジュン氏は「政府が通貨・為替政策に介入する余力が制限され事実上財政だけが政策手段として残っている」と診断した。
拡張財政は不動産・為替相場だけ刺激するのではない。市場金利を上げ企業・家計の利子負担を拡大し、物価上昇圧力要因として作用する。延世(ヨンセ)大学経済学部の金正湜(キム・ジョンシク)名誉教授は「資金供給が続けばインフレ(物価上昇)圧力が大きくなる。また、流動性を増やすためウォンの価値がさらに落ちる要因になり得る」と説明した。
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