李在明大統領が14日にソウルの大統領室で韓米首脳会談の結果であるジョイントファクトシートについて説明している。左から金容範政策室長、李大統領、魏聖洛国家安保室長。[写真 大統領室写真記者団]
韓米首脳会談の結果であるジョイントファクトシート(共同説明資料)に対する財界の評価だ。7月31日に暫定合意してから100日以上ぶりに関税交渉が一段落した点で最悪の不確実性は除去した。だが条件が付いたり、後続交渉が必要だったり、状況がいつどのように変わるかわからないという側面で安心するのは早いという反応だ。
成果は明らかだ。韓国製自動車・部品関税を競合国水準である15%に下げ、半導体の場合は台湾を念頭に、「今後韓国より半導体貿易規模が大きい国と米国との関税合意があるならば韓国に不利でない条件を付与するようにする」という内容を盛り込んだ。韓国経済研究院のチョン・チョル院長は「さまざまな面で不利な交渉環境で悪くない結果を勝ち取った」と評価した。
だが課題も残った。韓国政府が会談成果のひとつに挙げる米国の原子力潜水艦建造承認、ウラン濃縮と使用済み核燃料再処理支持などが代表的だ。原潜確保まで進むなら既存の韓米原子力協定から改正しなければならない。米議会の承認も経なければならない。原潜を4隻以上建造する場合にかかる数十兆ウォン単位の費用、10年近くかかる期間も考慮しなければならない。
シドニー大学米国学センターのマイケル・グリーン所長は「トランプ政権が協定を改正し米上院批准まで進んだとしても国際武器取引規定(ITAR)輸出統制再整備に向けた協議に入らなくてはならない。完ぺきな核管理・監督履歴と敏感な極秘情報保護履歴を持っているオーストラリアも交渉だけで数年かかった」と指摘した。
ファクトシートから最終的に抜け落ちた悩みの種は鉄鋼だ。米国は今年初めに鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課した。6月には鉄鋼関税を50%まで引き上げた。そうでなくても中国発の低価格攻勢に温室効果ガス縮小義務などで苦境に陥った鉄鋼業界としては堪え難い交渉結果だ。最大の輸出市場である欧州が米国の関税に強硬対応する過程で関税率を大幅に引き上げる可能性も議論される。
徳成(トクソン)女子大学国際通商学科のペク・チョルウ教授は「産業全般への波及力が大きい鉄鋼関税を決着させられなかった。今回の交渉と別個に関税引き下げ要求を継続するが、政府次元の鉄鋼産業構造調整と『Kスチール法』制定など後続支援対策が必要だ」と強調した。半導体関税は「不利ではない」という水準で終えたが、もし台湾が高い関税を適用される場合、韓国も関税の打撃を受ける恐れがある。
交渉妥結に向け約束した3500億ドルの対米投資も後々まで負担になりかねない。韓国の製造業の空洞化をあおる恐れがあるためだ。西江(ソガン)大学経済学科のホ・ジョン教授(韓国国際通商学会長)は「韓国の主要製造施設の海外移転が加速する場合、地域経済、雇用市場など経済全般に連鎖打撃が起こりかねない」と懸念する。
莫大な外貨流出にともなう外国為替リスクも伴う可能性がある。韓国政府は外貨準備高が4200億ドルと十分で、毎年200億ドルを安定的に調達するのに問題はないと説明する。だがソウル外国為替市場で14日の終値は1ドル=1457ウォンを記録した。世宗(セジョン)大学経営学部のキム・デジョン教授は「毎年大規模な外貨流出にともなう外国為替不確実性が韓国経済に及ぼす悪影響に備えなければならない」と話した。
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