韓国の金容範(キム・ヨンボム)大統領室秘書室長が先月29日、慶尚北道慶州(キョンサンブクド・キョンジュ)のアジア太平洋経済協力(APEC)国際メディアセンターで韓米関税交渉に関するブリーフィングを行っている。[写真 大統領室写真記者団]
大統領室の判断の背景には、法的検討のほかに、現在は迅速さが重要な時期だという考えもあるという。与党の核心関係者は「MOUを国会の批准同意を経て処理すれば時間がかかる」とし「そうなれば関税引き下げも遅れ、企業の被害が大きくなる」と述べた。共に民主党の核心関係者も「国会の批准手続きを経た後にドナルド・トランプ米大統領が発言を翻すようなことがあれば、柔軟な対応が難しくなる可能性がある」と語った。
通商条約法第13条によると、国会に批准同意を要請するためには、国内産業の補完対策や財源調達方案などを併せて提出しなければならない。準備に時間を要するということだ。さらに批准同意をめぐって政争が生じた場合、同意案の処理がさらに遅れる可能性もある。2007年に国会に提出された韓米自由貿易協定(FTA)批准同意案は、与野党の対立の中で提出から4年2カ月後に国会を通過した。批准同意案の議決定足数は在籍議員の過半数出席、出席議員の過半数賛成であるため、過半数の議席を占める共に民主党(166議席)が単独で可決することも可能だ。しかし強行処理による後遺症が大きく、与野党合意による処理のためには相当な時間を要する見通しだ。
大統領室の最終結論により、政府は国会批准同意手続きは進めず、3500億ドル(約54兆円)規模の対米投資ファンドに関する特別法の制定のみを推進する計画だ。特別法には、対米投資ファンドの設置根拠や運用方式などが具体的に盛り込まれる予定だ。韓国政府は迅速な法案処理のため、議員立法形式で発議を推進する。韓米両国は、韓国が特別法案を国会に提出した月の初日まで遡及して、米国が自動車などに対する関税を15%に引き下げることで合意した。韓国政府は今月中に特別法案が発議できるようにする方針だ。金炳基(キム・ビョンギ)共に民主党院内代表は5日の最高委員会議で「政府が準備中の対米投資特別法を11月中に最優先で処理する」と強調した。
政府・与党としては、野党の反発が政治的負担となっている。野党「国民の力」は「3500億ドルは来年度政府予算の70%に迫る莫大な金額であり、代議機関である国会が綿密に確認すべき」(チョ・ヨンスル報道官)として、合意文の公開と国会批准同意を要求している。張東赫(チャン・ドンヒョク)代表は前日、「国民一人当たり約1000万ウォン(約107万円)に近い負担を負わせる関税交渉をしておきながら、国会に批准同意を求めないとは、いかなる傲慢か。理解できない」と述べた。国会予算政策処も「両国間の了解覚書または協定を締結する際には、関連法令に従って通商条約締結手続きおよび国会の批准同意を経る方案を検討する必要がある」との意見を出した。
大統領室関係者は「批准対象であるか否かに関係なく、関税交渉の結果については国会に十分な報告と説明が必要だ」と述べた。大統領室は、野党も国益の観点から韓米合意の内容に同意するだろうとみている。
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