アジア訪問日程に入った24日(現地時間)、機内で記者らの質問に答えるトランプ米大統領 [ロイター=連合]
問題はトランプ大統領の個人的な計算が北朝鮮の核を事実上認める方向に進みかねない点だ。金委員長は先月の最高人民会議で演説し、「米国が非核化の執念を捨てて現実を認めれば我々も米国と向き合えない理由はない」と述べた。米国が北朝鮮の核を既成事実として受け入れれば朝米首脳会談も可能ということだ。北朝鮮はトランプ大統領の今回の「ニュークリアパワー」発言を自らの要求が受け入れられたと解釈する可能性もある。ノーベル平和賞を狙うトランプ大統領が各種国際紛争の解決を政治的功績として前面に出す過程で北朝鮮の核問題を活用する可能性もある。
トランプ大統領の訪韓中にサプライズ会談が実現し、北朝鮮が対話テーブルに復帰する場合、それ自体は前向きなことだ。しかしその見返りとして米国が北朝鮮の核を事実上認めれば、韓半島(朝鮮半島)は核の脅威の中に置かれることになる。我々としては頭上に核を載せて暮らさなければいけない最悪の結果だ。北東アジア「核ドミノ」が生じる可能性も排除できない。
トランプ大統領の個人的な目標のために国際安保秩序、特に北東アジア核秩序を揺るがすことがあってはならない。朝米対話が行われるとしても、その出発点はあくまでも「完全な非核化」が原則でなければいけない。韓国政府はこうした憂慮を米国に明確に伝達する必要がある。朝米の接触過程で韓国が排除される「コリアパッシング」は絶対にあってはならない。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は29日にトランプ大統領との2回目の首脳会談を控えている。通商交渉の妥結と原子力協定改定など韓米首脳が解決するべき課題が山積している。この席で北朝鮮の核関連の安保課題も核心議題として扱う必要がある。韓米の協調強化という土台の上で李大統領が言及した「ピースメーカー」と「ペースメーカー」の役割分担が深く議論されることを期待する。残りの2日間、政府は徹底的な準備で韓米首脳会談を同盟強化の転機にすることが求められる。
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