16日、カンボジアの住民が首都プノンペン郊外のセンソック地区にある「サクラ団地」のウェンチを見上げている。プノンペン=イ・ヨングン記者。
16日、カンボジア・プノンペン郊外センソック地区「サクラ団地」にあるウェンチの鉄門の内側に貼られた通知文。少女や女性を利用した麻薬密輸のおとり捜査が多発しているため、ウェンチに少女を連れてくることを禁止するという内容。プノンペン=イ・ヨングン記者。
16日、カンボジア・プノンペン郊外センソック地区「サクラ団地」にあるウェンチ。鉄格子が設置され、外部への移動が完全に遮断されているように見える。プノンペン=イ・ヨングン記者。
16日、カンボジア・プノンペン郊外センソック地区「園区団地」にあるウェンチの様子。プノンペン=イ・ヨングン記者。
最近まで中国人犯罪組織の拠点として使われていたカンボジアの犯罪団地「ウェンチ」。警備室とみられる建物の一角には端の部分が破れた紙が貼られたままで、中国語でこのような内容が書かれていた。犯罪組織の構成員が書いた「掲示文」とみられる。首都プノンペンの中心部から車で30分ほどのセンソック地区住宅街の真ん中にあるこのウェンチは、もともと13階建ての住商複合アパートだった。高級住宅が立ち並ぶ「サクラ団地」内にあり、建設当初は多くの住民が憧れる場所だったという。
しかし、中国人犯罪組織が建物を占有してから様相は一変した。現在は高さ約3メートルの塀に囲まれ、塀の上には鋭い鉄条網が幾重にも張り巡らされている。そしてアパートの外壁には、内部から外へ脱出するのを防ぐかのように、びっしりと鉄格子が取り付けられていた。16日(現地時間)、現地住民に取材したところ、ここでは7月まで組織的な売春と麻薬犯罪が行われていたという。
塀の一方には厚い鉄の扉があり、成人男性の顔くらいの高さには刑務所のような小窓が開いていた。その窓から頭を入れて中をのぞくと、中には使い古されたテーブルや椅子など生活の痕跡だけが残されており、人影はまったくなかった。アパート隣の住宅に住むリー・ソファニスさん(29)は「最初は鉄条網も鉄の扉もない普通の建物だったが、中国の組織が入ってから1年もたたないうちにこうなってしまった」と語った。彼はまた「警察の取り締まりが来ることを前日にあらかじめ知っており、コンピュータなどをまとめて持って逃げた」とも話した。
近隣住民のシエム・レアカナさん(35)も「女性を売春や麻薬の運び屋として使っていた組織だと聞いたが、7月に突然姿を消した」とし「中国人女性が多く連れてこられていたようで、外に干されていた洗濯物もほとんどが女性ものだった」と回想した。さらに「施設の中にいるだけで食べて暮らせる構造になっていた」とし「警察が捜査前に情報を流しているという話もあった」と証言した。
この日訪れた別のウェンチ「園区団地」も、7月に犯罪組織が撤収して以降、もぬけの殻となっていた。6階建ての建物が4棟あり、運営当時は1000人を超える人々がここで生活していたという。団地前の屋台商ディエットさんは「ここの人たちは外に出ることもなく、誰も中に入れようとしなかった」と話した。
「自給自足しながら売春・麻薬…3000人監禁、取り締まりを察知して逃げた」[カンボジア犯罪団地ルポ](2)
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