13日、イスラエルのテルアビブ「人質広場」に集まった市民が人質解放に歓呼している。ハマスはイスラエルとの休戦合意で生存する人質20人を段階的に解放した。 [AP=聯合ニュース]
先月9日にはイスラエルがカタールの首都ドーハにあるハマス指導部を空襲すると、静かに眺めていたアラブ国家までがイスラエルを阻止するために動き出した。中東情勢は大きく揺れた。エテマドのヘッドラインの見出しのように、中東はいつどこで爆発するか分からない地雷原の上にあるのは明らかだ。ところがトランプ大統領が推進したガザ休戦案をイスラエルとハマスが受け入れ、地雷原の上に和平の道が開かれた。
◆イスラエルの情報失敗と判断の誤り
地雷原に和平が訪れた中東情勢の分岐点はイスラエルのドーハ空襲だ。イスラエルはガザ戦争勃発以降、カタールに不満を表してきた。イスラエルはカタールがハマスを保護しているという批判した。特にイスラエルの極右派政治家はカタールに一度制裁を加えるべきだという話もした。
昨年1月にはネタニヤフ首相がガザ戦争中に仲裁者の役割をするカタールに問題が多いと批判した。イスラエルのチャンネル12は、ネタニヤフ首相が、カタールはハマスに抑留された捕虜の家族と会いながらハマスに資金を支援すると非難し、米国がカタール軍事基地駐留期間を延長することにした決定に不快感を表明した、と報じた。カタール外務省の報道官はソーシャルメディアXに「このような発言が事実と確認される場合、無責任であり、罪のない命を助けようとする努力を阻害するものだが、驚くことではない」と投稿した。
そのイスラエルが先月9日、事前通報もなくハマス指導部を除去するという名分でカタールの首都ドーハにあるハマスの建物を弾道ミサイルで攻撃した。当時、ハマス指導部がトランプ大統領の停戦協議案を議論しようと集まったと把握して攻撃したが、指導部除去作戦は結局、失敗に終わった。イスラエルの情報とは違い、こうした集まりは当時の空襲場所ではなかったからだ。
◆カタールは中東米軍の前進基地の役割
ドーハ空襲の余波は大きかった。ネタニヤフ首相は米国とカタールの関係を誤認した。カタールは産油国で資源が豊かな富裕国だが、サウジアラビアとアラブ首長国連邦など周辺大国に囲まれた小国であり、スイスのような中立国を標ぼうする。カタールはタリバン・ハマスなどすべての国が避ける組織を受け入れながら仲裁国として外交力を誇示してきた。2021年に米国とタリバンの交渉で核心的な役割をし、ロシア・ウクライナ戦争では捕虜交換の成功に寄与し、2023年の米国とイランの捕虜交換もカタールが仲裁した。韓国がイランに支払う70億ドルもカタールに向かった。
カタールはイスラエルと同じく米国の主要非NATO(北大西洋条約機構)同盟(MNNA)19カ国の一つだ。米国にアルウデイド(al-Udayd)という中東最大の空軍基地を無償で提供しながら米中央軍司令部の前進基地の役割をしている。
◆トランプ大統領「カタールは米国が守る」
カタールは5月のトランプ大統領の中東歴訪当時、気前よくトランプ大統領が望むボーイング747-8専用機を贈った。今後トランプ大統領の中東構想でカタールが重要な財源調達の役割をするとみられる。こうした点でイスラエルのドーハ攻撃決定はトランプ大統領とカタールの間の強い関係を過小評価したようだ。
ドーハ空襲の直後、ネタニヤフ首相は「2001年の9・11米同時多発テロ以降、米国はテロリストがどこにいようと最後まで追跡すると約束して実際にそうした」と述べ、イスラエルは米国の接近方式に従ったと強弁した。ネタニヤフ首相はカタールがテロリストに隠れ家を提供してハマスに資金を支援したとしてドーハ空襲を正当化した。
しかし結局、ネタニヤフ首相は先月29日、トランプ大統領の圧力でカタール首相に電話をかけた。ネタニヤフ首相は今後は二度とカタールの主権を侵害せず、トランプ大統領にもそのように約束したと謝罪した。またトランプ大統領は「外部の攻撃からカタールの安全と領土を保障するのが米国の政策」とし「カタールの領土、主権、核心施設に対するいかなる武装攻撃も米国の平和と安保に対する脅威」と見なす行政命令に署名した。
今後、カタールが攻撃を受ければ「米国とカタールの利益を保護し、平和と安定を復元するために外交と経済、必要なら軍事措置を含むあらゆる合法的、適切な措置を取る」ということだ。米議会の承認がない行政命令であるため自動介入を制度化したものではないが、イスラエルがまた攻撃すればこれを米国が防ぐという言葉だ。MNNAは軍事的・経済的特権を提供するが、指定国家にいかなる安保的義務もあるわけではない。それでもトランプ大統領は行政命令でカタールに対する安保義務を米国に自ら課した。
トランプ大統領の仲裁で休戦、地雷原の上に和平の道が開かれた(2)
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