スイス製の1キログラム金塊。国際金価格が連日で史上最高値を更新するなか、9月29日(現地時間)、初めて1オンスあたり3800ドル(約 56万2000円)を突破した。[AFP=聯合ニュース]
米中の覇権争いを背景に、国際通貨システムにおけるドルの独占的地位が揺らぐなか、金はユーロを上回り、世界で2番目に多い各国中央銀行の保有資産となった。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が今年73カ国を対象に実施した「中央銀行金購入調査」によると、95%の中央銀行が今後1年以内に金の保有量を増やすと回答した。こうした中、9月30日(現地時間)のロンドン貴金属市場協会(LBMA)では、金現物価格が1オンス(28.35グラム)あたり3825.3ドル(約57万4000円)で取引を終えた。今年に入ってからの金価格上昇率は45.4%を超えている。
◇中国の外貨準備に占める金の比率、3.36% → 7.64%に急増
中国の金保有量は、これまで段階的に増加してきた。中国国家統計局によると、1952年には500万オンス(141.7トン)にすぎなかった中国の金保有量は、1950年代末の全国的な大飢饉を解決するため食糧購入に金を充てた結果、85トンまで減少した。その後、359トン台を維持していた金保有量は、世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年を経て546.9トンに拡大した。さらに2009年、2015年、2019年の3回にわたり金を追加購入し、1775.8トンに達した。
その後2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、金保有量は急増する。同年11月に29.2トンの買い付けを開始し、2024年4月までに計288トンを購入した。その後、5~10月の間は一時的に買いを停止していたが、トランプ米大統領が当選した11月以降、再び金の買い増しに動いた。今年8月までの10カ月間でさらに34.59トン増加し、総計では2022年10月の1775.81トン(6264万オンス)から2024年8月末には2098.43トン(7402万オンス)へと拡大した。3年間で韓国銀行が保有する金104.4トンの3倍以上を買い増したことになる。韓国の金保有量は2013年以降、12年連続で変化がない。
同期間に、中国の外貨準備高に占める金の比率も倍増した。2022年10月時点では、中国の外貨準備高3兆0524億ドルのうち、金は1026億7000万ドルで3.36%にとどまっていた。今年8月には、総額3兆3221億ドルのうち2538億4000万ドルとなり、7.64%へと2倍以上に急上昇した。
◇先進国平均26.89%と大きな差…中国は金買い増しを続ける見通し
しかし、先進国の金保有量と比べると、中国の金買い増しは今後も続く見通しだ。WGCによれば、中国の金保有量は米国(8133.46トン)、ドイツ(3350.25トン)、イタリア(2451.84トン)、フランス(2437トン)に次ぐ世界第5位だ。しかし外貨準備高に占める金の比率では47位にとどまっている。
国際金融センターのイ・チフン新興経済部長は「中国は外貨準備額の中で米国債を売却し、金保有を増やす傾向にある」とし、「これは世界的な長期トレンドであると同時に、特にロシア・ウクライナ戦争以降、ロシアの資産凍結を目の当たりにした中国が、よりスピードを上げている」と分析した。
北京の金融関係者も、中国の金保有拡大について「米国・英国・欧州など基軸通貨国の金保有比率に近づけ、米ドルの割合を減らすポートフォリオ多様化戦略、米国によるロシアへの金融制裁を踏まえ、米国債以外の安全資産を確保する必要性が高まった結果でもある」と分析した。
◇2027年までに金採掘を5%拡大、民間取引には規制強化
中国政府は今年に入り、金に関連する新政策を相次いで打ち出した。金のマネーロンダリング機能を遮断しつつ、金取引市場を育成する方向で、規制と育成という二つの狙いを同時に達成しようという趣旨だ。
中国は2007年、年間270トン余りの金を生産し、109年間にわたり世界最大の金産出国だった南アフリカ共和国を抜いて世界1位の金生産国となった。近年も年間300〜400トンの金を生産している。6月23日、中国工業・情報化部、国家発展改革委員会、自然資源部、商務部、応急管理部、国務院国有資産監督管理委員会、税関総署、市場監督管理総局、国家鉱山安全監督局の9省庁が共同で「金産業高品質発展実施方案(2025〜2027年)」を発表した。計画では、2027年までに金資源量を5〜10%増やし、金・銀の生産量を5%以上拡大することを目標とした。1日あたり金鉱石の処理量が500トンを超える鉱山が全国生産量の70%以上を占めるよう再編し、事故が相次ぐ零細な金鉱山を大型鉱山に置き換える方針を示した。同時に、中国人民銀行は6月30日、10万元(約206万円)以上の金やプラチナ取引をすべて申告義務化する通知を発表した。さらに9月12日には、人民銀行と税関総署が金の輸出入許可を一層厳格化する措置を取った。
◇中国の民間金保有量は世界1位…米国の1.5倍
当局の規制にもかかわらず、中国の民間では資産として金を好む傾向が続いている。中国黄金協会の統計によれば、今年上半期の金装飾品の消費量は199.826トンで前年比26%減少したものの、ゴールドバーや金塊の消費量は264.242トンで23.69%増加した。中国の金産業ニュースを伝える「中国黄金網」によると、2023年時点の民間金保有量は1万2349トンに達し、これは中国政府保有量の5.88倍、米国の金保有量8133.46トンの1.5倍にあたるという。
今後の金価格の推移については、専門家の見方が分かれている。華創証券の主席アナリストである張瑜氏は「世界の新興市場が金保有量を現在の平均8.87%から先進国の平均である26.89%へ拡大する場合、年間1万5000トンの金が必要となり、これは2024年の世界金生産量の4〜5倍に当たる」として、実現可能性に疑問を呈した。また、米資産運用会社フィッシャー・インベストメンツのケン・フィッシャー会長は、中国経済誌「財新」のインタビューで「金価格の上昇はファンダメンタルズよりも、投資家の利確や市場心理に左右されることが多い」とし、「市場は金のリスク回避やインフレ防衛という機能を過大評価している」と指摘し、金の追随投資には注意を促した。
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