10月5日、仁川(インチョン)国際空港で開かれた大韓航空・GSカルテックスによるバイオ航空燃料実証運航記念式で、実証運航に向け大韓航空のボーイング777F貨物機にバイオ航空燃料(SAF)が給油されている。バイオ航空燃料は廃食用油や生活廃棄物などを原料とする環境にやさしい燃料で、従来の化石燃料ベースの航空燃料と比べて最大80%の炭素排出削減が可能だ。大韓航空は、仁川発ロサンゼルス行きの貨物機で今年11月まで計6回の実証運航を行う計画だ。[写真 ニュース1]
韓国国土交通部は9月、SAF混合義務制度の導入に向けた官民タスクフォース(TF)を設置し、本格的な制度設計に入った。政府は2027年から韓国発の国際線においてSAFを最低1%以上混合して使用することを義務化し、2030年までに3〜5%、2035年には最大10%まで段階的に拡大する計画だ。現在は自主的な試験運航段階だが、制度施行後は基準を満たさなければ航空運航そのものが制限される可能性もある。
こうした政策は、国際民間航空機関(ICAO)の炭素削減基準「CORSIA(国際航空のための炭素オフセットおよび削減スキーム)」に対応する措置だ。欧州連合(EU)や主要先進国もSAF使用の段階的義務化を進めており、航空業界全体で「カーボンニュートラル」への移行が本格化している。
◇実証運航に入った大手航空会社
韓国内ではすでに大韓航空とアシアナ航空がSAFを使用した運航を開始している。大韓航空は昨年下半期から仁川(インチョン)〜ロサンゼルス路線に国産SAFを適用しており、アシアナ航空は2022年のパリ路線を皮切りに、今年は仁川〜羽田、ヨーロッパ発の便などに拡大した。ただし両社とも、供給量の不足と高い価格負担のため、全路線への拡大には慎重な立場を取っている。
SAFは現在、通常の航空燃料より2倍以上高価だ。大韓航空がSAFを1%混合の基準で使用した場合、年間約400億〜450億ウォン(約45億〜50億円)の追加コストが発生すると見込まれている。混合比率が3〜5%、10%へと上昇すれば、年間数千億ウォン単位の固定費増加は避けられない。
◇「うちはまだ準備すらできていない」
資金に余裕のないLCCは、SAF導入に消極的にならざるを得ない。チェジュ航空、ジンエアー、ティーウェイ航空など韓国内の主要格安航空会社は、SAFの実証運航どころか、具体的な導入スケジュールすら決められていない。一部では石油会社との業務協約(MOU)締結などはあったが、実際の契約や混合比率の設定は未定だ。あるLCC関係者は「石油会社と協議を始めたが、現実的に今SAFを購入したり適用したりするする余力はない」とし、「政府が税制優遇や差額補填のような直接支援なしに政策を推し進めるなら、中小航空会社にとってはこの制度の導入が『環境政策』ではなく『経営リスク』としてのしかかるだろう」と懸念を示した。
◇航空券価格、また上昇か
SAF導入によって航空券価格が上がるとの懸念もある。ドイツのルフトハンザ航空は昨年から「グリーン運賃」を新設し、SAF使用費用とカーボンオフセット費用を航空券価格に含めて販売している。欧州内の一部格安航空会社も、SAF費用を「環境税」または別料金として乗客に転嫁している。
韓国でもSAF混合比率が義務化されれば、航空券の値上がりは避けられないとの分析が出ている。特にLCCは平均航空運賃が低く価格競争が激しいため、SAFコストを自社で吸収する余力が大きくない。航空業界関係者の一人は「すでに高為替・高油価・高金利の『三重苦』にあるLCCにとって、SAFは『カーボンニュートラル投資』というより『生き残りへの圧力』として迫る」と話した。
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