ロシアの第5世代戦闘機Su-57。[写真 Rosoboronexport]
インドは空軍力増強のため、自国産の軽戦闘機「LCAテジャス」の発注を増やし、中型戦闘機としてフランスからラファール戦闘機を追加導入しようとしている一方で、現在ハイエンド戦力であるヒンドゥスタン・エアロノーティクス(HAL)社がライセンス生産しているSu-30MKIよりも高性能を備える戦闘機として、ロシア製Su-57の導入を準備している。
インドは2010年代初頭、ロシアと共同でSu-57を基盤にインドの要求条件を反映した複座型戦闘機を開発するFGFA(Fifth Generation Fighter Aircraft、第5世代戦闘機)事業を進めていたが、ロシアの技術移転拒否と急増する事業費により2018年に事業を中止した経緯がある。
インドはSu-57導入を2つの事業として進めているとみられる。インドのメディア「ザ・プリント」によると、第1段階ではロシアから完成品のSu-57を飛行隊2個分、36~40機を導入して迅速に前線基地に配備し、第2段階では7個飛行隊分に当たる140機を技術移転を通じてHALが現地生産する方針を進めているという。
インドはAMCAという独自の第5世代戦闘機開発計画を持っているが、予定通りに進んだとしても2034年ごろに実戦配備が始まる見込みで、約10年間対応戦力に空白が生じる。この空白を埋める戦闘機としてロシアはSu-57を提案し、米国はF-35を提案した。両機は2025年2月に開かれたエアロ・インディア航空ショーで並んで展示され、大衆の注目を集めた。しかしインドは広範な技術移転を要求しており、米国の提案は拒否された。
インドのSu-57導入決定は、5月に行われたパキスタンへの「シンドゥール作戦」以降に下された。当時インド空軍はブラモスなどの長距離武器で国境を越えた空軍基地およびその他の目標を攻撃した。インド空軍は作戦終了後、Su-30MKIの搭載量の限界で十分な打撃ができなかったと評価し、より大きな搭載量を持つSu-57導入の議論を進めたという。
Su-57はロシアがウクライナを攻撃する際に使用しており、多くは安全な空域から長距離攻撃武器を発射するか、ネットワーク戦術でウクライナ防空網を探るのに利用された。インドがSu-57を導入する場合、先制攻撃やレーダー無力化任務を担当させるものとみられる。
インドは米国からロシア産石油の輸入中断を求められているが、S-400地対空ミサイルの追加購入を進めており、さらにSu-57まで導入すれば、米国との関係がさらに悪化する可能性があるという懸念もある。
チェ・ヒョンホ/ミリドーム代表・軍事コラムニスト
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