実際に李大統領は大統領選候補時代には公約で「原発を含めたエネルギーミックス」を強調し原発業界の期待感を高めた。トランプ米大統領が5月に2050年まで4億キロワットに拡大することを目標にした大統領令4件に署名し韓国の原発業界も特需を得られるだろうというバラ色の見通しが広まった。5月まで2万5000~2万6000ウォン台で推移していた斗山エナビリティの株価は5月以降急上昇し6月には7万ウォン台まで上がったりもした。
だが先月11日の就任100日記者会見では「原発を作るのに15年かかる」「建設用地があり安全性が担保されればやるが、私が見るには現実性がない」として当選前とは異なる発言をした。1日から原発事業を管轄する気候エネルギー環境部の金星煥長官も前政権で確定した新規原発建設計画に対し「公論化」を掲げ白紙化する可能性をちらつかせ始めた。
最近古里2号機の10年稼動延長決定が遅れたのもこれと無関係ではないというのが業界の見方だ。先月25日に古里原発2号機の10年稼動延長の可否を決めようと開かれた原子力安全委員会では結論を出せず10月に再び開くことにした。「安全性」が再論されたという。慶熙(キョンヒ)大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授は「再稼働審議案件が上がったということはすでに許可基準が通過したという話だが、安全性を問題にするなら政治的判断である可能性が高い」と話す。李大統領は大統領選候補討論会では「韓国の現実があるためすでに建てられた原発は継続してしっかり使い、そして稼動年限が過ぎたとしても安全性が担保されればさらに使うことも検討しよう」と話していた。
こうした状況から、「当分は輸出に焦点を置くほかなさそうだ」(慶南大学社会学科ヤン・スンフン教授)という意見があるが、国内事業性が担保されないのに輸出ができるのかという懐疑的な見方も多い。ハン・テギョ理事は「輸出で販路を開くとしても自国内でやっていないものを輸出するというのは理解できなくないか。国内で続けて技術蓄積がなされてこそ需要ができ海外でも需要ができる」とした。
こうした状況でいち早く脱原発した企業は胸をなで下ろしている。馬山(マサン)のA社代表は「私の判断が合っていたと思った」と話した。原発業者に電力設備標識機器を納品していたこの企業は脱原発政策当時に売り上げが30%以上減るなど大きく苦戦した後、業種自体を変えた。彼は「5年ごとに事業性が変わるのに投資ができるだろうか。事業をたたむという話にしかならない」としながら苦々しいと述べた。
◇「エネルギー政策、場当たり式ではだめ」
A社はそれなりにうまくいったケースだ。業種転換は容易なことではないからだ。1990年代に事業を始めた新規原発建設補助機器製造専門C社の関係者はやむにやまれぬ多角化だと表現した。彼は「新規原発建設自体をしないからそうでなくても減っている人材で工事からメンテナス工事、リサーチまで片っ端からすべてやっている。事業多角化がさらに苦しかったのは、原発は専門性も高いためその分野の専門人材を求めなければならず、人件費で企業利潤は減り売り上げも減って結局銀行の負債償還督促まで続くことになる」と話した。延命に汲々として研究開発は夢にも考えられない状況だ。原発関係者は「このままなら韓国の原発業界は技術競争力で遅れをとり自然淘汰されるかもしれない。その隙間を中国など海外企業が埋めるだろう」と話した。実際にトルコ政府は2日に新規原子力発電所建設プロジェクトを発表しながら、交渉対象国として韓国のほかにカナダや中国などを挙げた。
原発業界が長期的に懸念するものはまたある。「脱原発→親原発→脱原発」と一進一退する政策の余波で専門・熟練人材養成と需給がまともに進まないだろうという点だ。ハン・テギョ理事は「人材の半分が流出し、熟練人材を求めるのも困難だ。政策の余波で作業を休めば経歴が中断され技術が縮小するほかない」とした。その上で「事業者だけでなく産業競争力自体も落ちているというのが業界の懸念」と話した。カン・ソンヒョン代表も「(脱原発)当時人材が30%縮小されたがその後売り上げがないから新規人材補充は夢見ることもできなかった。若手は最小5年目だが熟練人材というには難しい」とした。
実際に原子力供給産業の人材は2016年に2万2000人で最大となった直後、2017年から減り、2021年には1万8000人に減少した。ヤン・スンフン教授は「政権と関係なく原発産業に対する中長期的ロードマップが不在なのが問題」と指摘した。チョン・ボムジン教授も「専門性と精密さが必要なエネルギー政策は場当たり式でやってはならない」と強調した。
外国は原発にUターンしている。中国は最近先端産業と製造業の必須である電力を安定的に確保するため現在58基である原発を2035年までに最大180基と約4倍に増やすことにし揺らぐことなく推進中だ。ブルームバーグも先月29日に報告書を通じ「米国の原子力産業が復活を準備している」として米国の原子力発電容量が2050年までに63%増加すると予想した。現在数十社の企業がSMR設計を開発しているとも付け加えた。
脱原発に傾く韓国政府…原発業界は深いため息(1)
だが先月11日の就任100日記者会見では「原発を作るのに15年かかる」「建設用地があり安全性が担保されればやるが、私が見るには現実性がない」として当選前とは異なる発言をした。1日から原発事業を管轄する気候エネルギー環境部の金星煥長官も前政権で確定した新規原発建設計画に対し「公論化」を掲げ白紙化する可能性をちらつかせ始めた。
最近古里2号機の10年稼動延長決定が遅れたのもこれと無関係ではないというのが業界の見方だ。先月25日に古里原発2号機の10年稼動延長の可否を決めようと開かれた原子力安全委員会では結論を出せず10月に再び開くことにした。「安全性」が再論されたという。慶熙(キョンヒ)大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授は「再稼働審議案件が上がったということはすでに許可基準が通過したという話だが、安全性を問題にするなら政治的判断である可能性が高い」と話す。李大統領は大統領選候補討論会では「韓国の現実があるためすでに建てられた原発は継続してしっかり使い、そして稼動年限が過ぎたとしても安全性が担保されればさらに使うことも検討しよう」と話していた。
こうした状況から、「当分は輸出に焦点を置くほかなさそうだ」(慶南大学社会学科ヤン・スンフン教授)という意見があるが、国内事業性が担保されないのに輸出ができるのかという懐疑的な見方も多い。ハン・テギョ理事は「輸出で販路を開くとしても自国内でやっていないものを輸出するというのは理解できなくないか。国内で続けて技術蓄積がなされてこそ需要ができ海外でも需要ができる」とした。
こうした状況でいち早く脱原発した企業は胸をなで下ろしている。馬山(マサン)のA社代表は「私の判断が合っていたと思った」と話した。原発業者に電力設備標識機器を納品していたこの企業は脱原発政策当時に売り上げが30%以上減るなど大きく苦戦した後、業種自体を変えた。彼は「5年ごとに事業性が変わるのに投資ができるだろうか。事業をたたむという話にしかならない」としながら苦々しいと述べた。
◇「エネルギー政策、場当たり式ではだめ」
A社はそれなりにうまくいったケースだ。業種転換は容易なことではないからだ。1990年代に事業を始めた新規原発建設補助機器製造専門C社の関係者はやむにやまれぬ多角化だと表現した。彼は「新規原発建設自体をしないからそうでなくても減っている人材で工事からメンテナス工事、リサーチまで片っ端からすべてやっている。事業多角化がさらに苦しかったのは、原発は専門性も高いためその分野の専門人材を求めなければならず、人件費で企業利潤は減り売り上げも減って結局銀行の負債償還督促まで続くことになる」と話した。延命に汲々として研究開発は夢にも考えられない状況だ。原発関係者は「このままなら韓国の原発業界は技術競争力で遅れをとり自然淘汰されるかもしれない。その隙間を中国など海外企業が埋めるだろう」と話した。実際にトルコ政府は2日に新規原子力発電所建設プロジェクトを発表しながら、交渉対象国として韓国のほかにカナダや中国などを挙げた。
原発業界が長期的に懸念するものはまたある。「脱原発→親原発→脱原発」と一進一退する政策の余波で専門・熟練人材養成と需給がまともに進まないだろうという点だ。ハン・テギョ理事は「人材の半分が流出し、熟練人材を求めるのも困難だ。政策の余波で作業を休めば経歴が中断され技術が縮小するほかない」とした。その上で「事業者だけでなく産業競争力自体も落ちているというのが業界の懸念」と話した。カン・ソンヒョン代表も「(脱原発)当時人材が30%縮小されたがその後売り上げがないから新規人材補充は夢見ることもできなかった。若手は最小5年目だが熟練人材というには難しい」とした。
実際に原子力供給産業の人材は2016年に2万2000人で最大となった直後、2017年から減り、2021年には1万8000人に減少した。ヤン・スンフン教授は「政権と関係なく原発産業に対する中長期的ロードマップが不在なのが問題」と指摘した。チョン・ボムジン教授も「専門性と精密さが必要なエネルギー政策は場当たり式でやってはならない」と強調した。
外国は原発にUターンしている。中国は最近先端産業と製造業の必須である電力を安定的に確保するため現在58基である原発を2035年までに最大180基と約4倍に増やすことにし揺らぐことなく推進中だ。ブルームバーグも先月29日に報告書を通じ「米国の原子力産業が復活を準備している」として米国の原子力発電容量が2050年までに63%増加すると予想した。現在数十社の企業がSMR設計を開発しているとも付け加えた。
脱原発に傾く韓国政府…原発業界は深いため息(1)
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